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はじめに
法人オーナーの方の中には、「資産の大半が自社株だ」という方も多いのではないでしょうか。しかし、自社株は原則として売却できないため、実質的に運用できない資産といえます。そこで本記事では、法人オーナーが運用資金を調達可能な自社株担保ローンについて、そのメリットとデメリットを解説します。法人オーナーが自社株担保ローンで資金を調達する際に考慮すべきポイントやリスクについて触れ、有効な活用方法を紹介します。
自社株担保ローンとは
自社株担保ローンとは、法人オーナーが自ら保有する自社株式を金融機関に担保として提供し、その担保価値に基づいて資金を借り入れる仕組みです。
つまり、自社株式を担保にする点を除き、通常の証券担保ローンと違いはありません。
証券担保ローンは、文字通り有価証券(株や債券、投資信託など)を担保とした資金調達方法です。
証券担保ローンで調達した資金の使途は原則として自由です。事業資金のほか、不動産や有価証券への投資を行うことも可能です。
自社株担保ローンは、自社株を売却できない法人オーナーの方にとって、運用資金を得るための重要な手段といえるでしょう。
ただし、自社株担保ローン(証券担保ローン)には、金融機関によって「借入れできる割合」(LTV)が定められており、担保価格の変動には特に注意が必要です。
自社株担保ローンのメリット
自社株担保ローンには次のようなメリットがあります。
資金調達の柔軟性
自社株担保ローンは、法人オーナーが保有する自社株を担保とするため、容易に資金を調達することが可能です。
自社株担保ローンは申し込み手続きが簡単で、当日または翌日融資に対応している金融機関が多いことから、急な資金需要にも対応できます。
低金利で借入可能
自社株を担保にしたローンは、一般的に金利が比較的低い水準で設定されることが多く、法人オーナーにとってコスト面での魅力があります。金利は金融機関によって異なりますが、概ね1%〜3%程度です。
運用資金を調達できる
法人オーナーの場合、自社株を保有していても、得られるのは自社株からの配当金だけです。
しかし、自社株担保ローンを利用して運用資金を調達すれば、自社株の配当に加えて運用資産から収益を得られることになります。
仮に、金利2%の自社株担保ローンで1億円を調達し、利回り5%の債券で運用した場合、年間で実質300万円(税引前)のインカムゲインを得られます。
自社株担保ローンのデメリット
自社株担保ローンには次のようなデメリットがあります。
自社株の価格変動リスク
自社株担保ローンは、自社株価格の変動リスクを伴います。自社株式の価値が下落した場合、追加の担保提供や返済条件の変更が求められる可能性があります。
特に、自社株担保ローンで調達した資金を運用に充てている場合は、注意が必要です。
追加担保が提供できない場合は借入金の返済、つまり運用資産の売却が必要となるからです。
この場合、運用資産は時価での売却となるため、運用状況によっては損失が発生するリスクがあります。
取扱い金融機関が限定される
証券担保ローンは、全ての金融機関が取り扱っているわけではありません。
特に、自社株担保の場合は、シングルストックローン(株式1銘柄のみを担保としたローン)となるため、取扱可能な金融機関が少ない点がデメリットです。
このため、まずは自社株を担保にローンを組める金融機関を探すことが必要となります。
慎重な資金戦略の必要性
自社株担保ローンを活用する際には、将来の事業展望や資金調達の必要性を総合的に考慮し、慎重な資金戦略を構築することが重要です。メリットやデメリットを正しく理解し、リスク管理を適切に行うことで、自社株を活用した効果的な資金調達が可能となります。
以上、法人オーナーのための自社株担保ローンのメリットとデメリットについて解説してきました。資金調達手段としての自社株担保ローンは、慎重な運用とリスク管理が不可欠です。将来の事業展望を踏まえて、適切な資金戦略を構築することで、事業の発展につながる資金調達が可能となるでしょう。
なお、ウェルス・パートナーでは、自社株担保ローンを活用した資産運用の相談にも応じております。自社株担保ローンに強い金融機関の紹介も可能ですので、ぜひ気軽にお申し込みください。
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