目次
はじめに
皆さんこんにちは。 株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
本日は、「世古口が最近、期間の長いIT会社の米ドル債券に投資している理由」というテーマをお届けします。
私自身の資産運用に関しては、金融資産の大半が米ドル建ての債券、外貨建ての債券が中心になっているのですが、最近また債券を買い増ししました。
最近買っている債券に特徴がありまして、期間が非常に長いアメリカの大手IT会社が発行している格付けが高い米ドル債券に投資をしています。
今回は、私がそのような債券に投資している理由、そして投資のポイントについてご説明ができればと思います。
IT会社の米ドル債券3銘柄(2024年2月購入)
私が、2024年2月に購入したアメリカの大手IT会社が発行している米ドル債券3銘柄がこちらになります。
具体的に個別の発行会社などはお伝えできないので、少しぼかしたりしているのですが、だいたいこのようなイメージとなっています。
3つの債券は、それぞれ違う債券発行会社になっています。
格付け(①)が上から AAAと最高位の格付けです。アメリカ国債でAA+なので、それより高い超高格付けの債券です。
次の債券がAA-で、これも相当高い格付けです。 そして3つ目がAA+なので、いずれも相当高格付けで、超高格付けと言っても過言ではない、そういった発行会社となっています。
残存期間(②)、つまり投資してからお金が償還されるまでの期間ですが、上から27.5年、27.6年、28.7年となっており、期間はとても長くなっています。
時代によっては、こんなに長い債券に投資できないということもあるのですが、今回は20年台後半と、タイトル通り期間の長い債券に投資したのが特徴だと考えています。
そして一番右側の列の年利回り(③)なのですが、上から4.6%、4.7%、4.6%となっています。
では、なぜ私自身がこのようにIT会社が発行している超高格付けで、期間が非常に長い債券に投資しているのかといえば、まさに現在は利回りが高いからです。
現在、アメリカ10年国債の利回りが4.2%程度ですから、国債プラス0.4%か0.5%の利回り ということになります。
そして、このように期間の長い債券に投資をすれば、 高い利回りを長期間享受できることになるので、このようなIT会社に投資をしているわけです。
例えば一番上の会社の場合、何事もなければ27.5年の間、毎年4.6%の利回りを得ることができるので、投資効果が高いと考えたわけです。
これが時代によっては、期間が27年などの債券でも、利回り1%とか2%の時代がかなり長く続いてきました。 つまり、アメリカも低金利だったわけです。
それが久しぶりに金利が高くなり、4%台という金利はある時代から見たら夢のような世界です。
したがって私は最近、このように期間が非常に長く、利回りが4%後半くらいとそこそこ高い債券に投資しているわけです。
そして、なぜ超高格付け債券にしているかということですが、やはり27年とか28年など、30年弱もこれらの会社のリスクを取り続けることになりますので、やはりこれ位の高い格付けであれば安心と考えて投資しています。
ITという業種を増やしている理由ですが、今の私の債券ポートフォリオが、6割くらいとかなり金融機関に偏っているので、金融以外のITなどの業種を増やすことによって、発行体の業種のリスク分散をしたいという考えです。
このようなところが、私が最近になって期間が長く、格付けが非常に高いIT関連の米ドル債券に投資している理由です。
米10年国債利回りを目安に「残存期間」決める
最初の方に、現在は金利が高いため、このような期間が長い20年代後半の債券に投資しているとお話ししました。では、どれくらいの利回りの時に、どれくらいの期間の債券に投資すれば良いかという目安があった方が、皆様も分かりやすいと思います。
そこで、あくまで私自身が考えている目安なのですが、参考までにお伝えできればと思います。
こちらが、過去2年間におけるアメリカ10年国債の利回りチャートになっております。
私自身は、このようなアメリカ10年国債利回りの水準によって、投資する米ドル債券の残存期間を決めております。
必ずその通りに決めているとは限らず、そうではない債券に投資する時もあるのですが、何も考えずにニュートラルに投資する時は、利回り水準で期間を決めていますのでお伝えしていこうと思います。
チャートを薄い4つの色で色分けしております。上から薄い赤、薄い青、薄い緑、薄い黄色となっており、これがアメリカ10年国債の利回り水準です。
一番上が4%以上(④)です。4%以上という高い利回りは、15年とか16年ぶりくらいの水準だと思います。久々の米ドル債券に投資する好機であると思います。
このような時は、高い利回りを長期間固定した方が有利であると考えますので、書いてある通り、期間20年以上の債券に投資するのが良いと思います。
まさに、今がそのようなタイミングです。右側に書いてある通り(⑤)、アメリカ10年国債利回りが4.2%くらいになっていますから、こういう時は期間20年以上などの債券に投資するチャンスと考え、今回私は期間が27年や28年の債券に投資しているわけです。
続いて下の青い部分(⑥)です。利回りが4%を切った時、3%から4%くらいの利回りの場合、どれくらいの期間がちょうど良いのかと考えると、私自身は10年から20年くらいの債券に投資するというのが良いと思います。3%から4%でも、十分高い金利水準であるからです。
大体、アメリカの今の経済の実力や経済情勢を考えると、おそらくニュートラルな金利は、3%くらいかと思いますので、それよりも高いということは、普通よりも高い状態と言えるので、これくらい長い債券に投資していくのが良いかと考えているわけです。
続いて緑色、利回り2%から3%の状態(⑦)です。普通より少し低いかなというくらいの水準でしょうか。こういう時は少し期間を短くするわけです。
例えば5年から10年など、これくらいの債券に投資するというイメージが良いと思います。
最後、利回りが2%を切って大体1%から2%くらい(⑧)になりました。
こうなると、長い債券に投資してしまうと、この利回りでずっと固定されてしまいますので、もったいないわけです。
従って、これくらい利回りが低い時には、期間は短くせいぜい5年以内などの債券でポートフォリオを作るというのが良いと思います。
こういったところが、私が実践しているアメリカ10年国債利回りの水準を目安にして、大体の債券の残存期間を決めるという考え方です。
まとめ
それでは、今回のテーマ「世古口が最近、期間の長いIT会社の米ドル債券に投資している理由」についてまとめていきたいと思います。
ポイントは4つあります。
米国債利回り4%以上なら期間20年以上が魅力的
1つ目は、米国債の利回りが4%以上であれば、期間20年以上の債券が魅力的だということです。
まさに今ということです。現在、米国債10年の利回りが4.2%くらいですので、こういった時は期間20年以上の債券に投資しても良いのではないかと考えています。
格付け間の利回り格差小さいなら高格付け選考
2つ目は、格付け間の利回り格差が小さいのであれば、高格付けを選ぶということです。
これがどういうことかと言えば、例えばAAの格付け、A、BBBと格付けがあるのですが、 格付け間の利回りの差があまりない状態というのが現在なのです。
従って、AAの格付けの債券も、Aの格付けの債券も、BBBの格付けの債券も、それほど利回りの差がないというのが現状です。
利回りの差が大きいのであれば、格付けが低いBBBとかBBの債券に投資して良いと思うのですが、そんなに差がないわけです。
差がないということは、できるだけ格付けが高い債券に投資したほうが良い状況であると考えています。
まさに、現在がそういう状況で、世の中の倒産リスクが下がっているわけです。景気が良いし、株価がすごく上がっています。
したがって、会社が倒産するという未来を誰も予想してないわけです。
このような理由から、格付けが低い債券などでも、「こういう状況だから倒産しないだろう」と考えて、皆さんが債券を購入するわけです。
なので、債券の価格が上がって、格付け間の利回りの差が縮小しているという状態です。
こういう状態の場合、目標利回りがそこまで高くないのであれば、そんなに格付けが低い 債券に投資するのではなく、今回私が紹介したような超高格付けの債券に投資するということが良いのだろうと考えています。
金融機関に偏重した発行会社の業種分散
3つ目は、金融機関に偏重している発行会社の業種分散を図っているということです。
先ほどお伝えした通り、私自身の現在の債券ポートフォリオは、金融機関の割合が高くなっています。5割とか6割になっていますので、かなり偏っているわけです。
したがって、IT企業のような金融以外の業種を増やすことによって、業種分散をしていくということです。
債券を買い増しながら全体のバランスを整えていく
最後の4つ目は総論になるのですが、債券を買い増しながら全体のバランスを整えていくということです。
最初に債券にまとめて投資する、これで終わっている方は、かなり少ないと思います。
収入がある方や会社の経営者の方だと、収入が入ってきて資産がどんどん増えていきます。
あとは債券からまた利金が生まれますから、それで債券に再投資していくという方が多いと思います。買い増ししていくというパターンです。
しかし、最初に債券のポートフォリオを作った状況で、完璧なものが出来上がることは少ないはずです。
また状況も変わります。その時点で最適だと思われたものが、1年後は変わっている可能性もあります
このような理由で、その状況でもっと良いバランスにするために、少しずつ債券を買い増しながら、全体のバランスを整えていくというのが大事になってきます。
私自身もそうで、金融機関の債券が良いと思ったタイミングが結構ありました
2023年などは、そういう債券を購入したということなのですが、これによって債券の業種が金融機関に偏ってしまいましたから、債券ポートフォリオ 全体のバランスを整えるということを行っているわけです。
他には、発行体の業種だけではなく、その企業が所属している国とか、平均の利回りや残存年数、あとは償還のタイミングなどです。
償還のタイミングもポイントでありまして、私が持っている債券はかなり償還タイミングが分散しているのですが、期間が27年とか28年の債券が結構少なかったので、その穴埋めと意味でも、今回このような債券に投資したという側面があります。
それから平均の格付けです。安全性の基準である格付けで、どれくらいを目指していくのかというところも、バランスとして重要なのだと思います。
したがって、最初に買って終わりではなく、そこから買い増しをしたり、リバランスで一部売却したりとかしながら、全体のバランスを最適なものにしていくというのが、債券投資においては重要なのかだと考えています。
今回は「【資産運用のプロも投資】 世古口が最近、期間が長いIT会社の米ドル債券に投資している理由」というテーマをお届けしました。
株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役 世古口 俊介
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。
2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
メディア掲載情報:「m3.com」「ZUU online」「MONEY zine」「マネー現代」でコラムを連載中