皆さんこんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
今回は「資産管理会社を作るときに押さえる5つのポイント」という内容でお届けします。
はじめに
資産管理会社とは、事業を行う一般的な会社とは異なり、一族やご本人の資産を管理するためだけに存在している会社を指します。
資産管理会社で株や債券などの金融資産を管理したり、借り入れを行って不動産に投資したり、または相続対策に使ったりするのですが、このような資産管理会社を作るときのポイントが5つあります。
この5つのポイントを外さなければ、概ね資産形成するうえで問題なく運営できるということで、ポイントを紹介していきたいと思います。
ポイント①株式会社or合同会社
5つのポイントのうち1つ目です。株式会社か合同会社か、会社の種類にはいくつかあり、細かく分類するといろいろ違いがあるのですが、要点だけお話しすると、まずどの会社にするかで設立するときの費用が違います。
株式会社だと大体30万円前後くらい、トータル30万前後で作ることができます。
これに対して合同会社の場合は15万前後くらいです。
したがって、設立するときの費用は、合同会社より株式会社の方が倍くらいかかります。
維持費は大体同じくらいなので、費用感でいうと、設立する時だけ合同会社の方が安いといえます。
あとは会社を作るスピードです。株式会社は1ヶ月くらいです。会社の内容が全部決まってから登記が終わるまで1ヶ月くらい。合同会社は2週間くらいということで、合同会社の方が早く作ることができます。
したがって、会社を早く安く作るのであれば、合同会社ということです。
次に、種類株と呼ばれる議決権がない株や、逆に権利がたくさんある黄金株と呼ばれる種類株を自由に発行できるのは株式会社なので、そういった株を発行したい場合は、株式会社の方が良いといえます。
それから、事業を拡大したいとか、資産管理だけでなく事業を行いたい、あとは資本政策として家族以外の株主を作りたいなど、そういう場合に資本政策の策柔軟性が高いのは株式会社なので、このような場合は株式会社にした方がいいという判断になると思います。
ポイント②代表者と役員を誰にするか
2つ目のポイントです。代表者を含めた役員を誰にするかという話です。まず代表者の方は、家族の中で一番信用力が高い方、信用力が高いというのは、収入が高くて資産が多い方、そういう方が代表者になった方がよいと思います。
なぜなら、資産管理会社が不動産投資をするときに銀行で借り入れを行うのですが、銀行の審査では資産が多い場合や年収が高い場合に多くのお金を借りることができたり、金利条件が良かったりします。したがって、できる限り信用力の高い方が代表者だった方がいいと思います。
それから代表者ではなく、一般の役員についてです。一般の役員は作らなくてもよいのですが、奥様などを役員にしていただくと、役員報酬を払って会社の経費を作ることができたり、奥様が銀行や証券会社、不動産会社とのやり取りをできます。
そういった面で、資産管理とか運営上を考えると、奥様などが役員になるのもよいと思います。
あと、注意点としてですが、会社にお勤めの方は、資産管理会社の役員になることが副業規定に反していないかということを、念のため確認しておく方がよいと思います。
ポイント③資本金をいくらにするか
3つ目のポイントは資本金の金額です。
資産管理会社なので、資本金は基本的にいくらでもよいと思いますが、少し注意したいのは、資本金が1,000万円を超えない方がよいということです。
1,000万円以内、1,000万円未満にした方がよいと思います。
1,000万超になると2つデメリットがあります。1つは、赤字でも住民税の均等割という税金がかかるのですが、均等割は資本金1,000万円未満で7万円、1,000万円を超えると18万円になります。
1,000万超だと均等割が18万円になり、これが毎年かかりますので、長い目で考えると結構な金額になります。
それから、1,000万を超える資本金があると、消費税の課税業者になるので、消費税を支払う必要があります。
加えて、消費税の計算を税理士にしてもらう必要があり、さらに多くのコストがかかるので、資産管理会社であれば、資本金は1,000万未満でよいと思います。
ポイント④株主を誰にするか
4つ目のポイントは株主です。誰がその会社の権利である株を持つのかということで、相続対策のことだけを考えると、本来株主はお子様がよいと思います。
資産管理会社でいろいろな投資をして、その投資で資産が成長した分を本人で保有していると、それも相続対象になるのですが、お子様が株主であれば、その資産成長分は、相続が終わっているということなので、その点を考えると、お子様が株主の方がよいです。
ただし、お子様が15歳未満だと、会社作るときの株主はなれないので、そのときはご本人が株主になって、会社ができた後に贈与や譲渡でお子様に株を渡すという流れがよいとと思います。
もし、お子様いないのであれば、ご本人様か奥様が株主になるというのが一般的だと思います。
ポイント⑤住所をどこにするか
最後に、5つ目のポイントは住所です。住所はどこでもよいのではないか、と考えるかもしれませんが、できれば自宅がよいと思います。
住んでいるのがマンションや一軒家であれば、本人所有か賃貸かによらず、ご自宅がいいと思います。
注意が必要なのは、レンタルオフィスにしている場合です。レンタルオフィスにしてると不都合が起こることがあります。
これは不動産に投資する場合、つまり銀行借入の時に総資産管理会社の住所がレンタルオフィスだと、「住所がレンタルオフィスだと怪しい」ということで、融資を嫌がる銀行があるのです。
それから、レンタルオフィス登録をしてると、インターネットバンクの銀行口座が作れないことも多いです。
このような可能性があるので、資産管理会社の住所には注意をした方がよく、できれば自宅がよいと思います。
まとめ
5つのポイントをもう一度おさらいしたいと思います。
1つ目が株式会社か合同会社どちらにするか。2つ目が代表者を含めて役員を誰にするか、3つ目が資本金の金額、4つ目が株主を誰にするか、5つ目が住所をどこにするか、ということです。
以上が資産管理会社を作るときに抑えるべき5つのポイントになります。
このような内容は、会社を作った後でも変えることができるのですが、結構費用がかかります。
登記内容を変更する費用と司法書士に依頼する費用が数万円から10数万円程度かかりますので、結構コストが必要になるのです。
あとは、資本政策を一度作ってしまうと、資産形成上変えると不利になってしまうことも結構あるので、会社を作る時点で専門家に相談し、しっかり検討した上で資産運用を行っていくのがよいと思います。
本日は「資産管理者を作るときに抑える5つのポイント」という内容でお届けさせていただきました。