はじめに
今回、医師である私がFIRE(Financial Independent Retire Early)に至った経緯についてお話します。
私自身は医師であり、現在、21年医師として働いてきました。厳密には、3児の母でありますので、産休・育休などを取得し、実際に医師として働いている時間は21年より少し短いかも知れません。ただ、専門医や指導医などは取得しております。また、某外資系の製薬企業で勤務した経歴もあり、Hollywood映画の翻訳や作家業に携わったこともあります。
病気をきっかけに「不労所得」について考える
私は20代のころに少し病気をしました。現在は完治をしておりますが、1年くらい仕事に就くことができず、その出来事は私の人生や考え方に大きな大きな影響を与えました。
ベッドの上で1年くらいそれもこれからの将来を楽しみにし、期待と不安を交えながら迎えた仕事から離れなければいけなかったのです。
当時は傷病手当金なども頂きましたので、収入的にも不安はなく、病気自体も今は心配はいらないのですが、人はいつ働けなくなるかもわかりません。そうなると収入が入らないかもしれないという危機感を持てたことが今になれば、20代の頃に得られた観念でした。
私が病院に勤務している時に感じたことですが、30代の頃に若くして病気をし、入院してくる人がいます。
そういう人を前にして治療をしながら、「自分だけは病気をすることはない」「自分は無敵である」と思い自分の身体を酷使し、夜勤を繰り返す医師を見る度に思います。
また、同時にとても献身的に患者さんの加療をしている医師を見ながら思います。
仕事に熱中することはとても素晴らしいこと、だけど、本当に明日、自分が倒れてしまうようなことがあっても、自分が本当に大切に思う家族などを守れますか?
また、ご結婚などされていない方にしろ、自分自身が休みに入らなければいけないような状況で自分自身を守ってあげる手段をお持ちでしょうか?
女医さんなどに関して言えば、出産や子育てなどのイベントにより一時的に収入が減るような経緯もあるかと思います。
私はこのような経緯があり、「不労所得を」得ることを心の底から探していたように思います。
一番初めに、「不労所得」を得る概念を得たのは、ロバートキヨサキさんの書かれた、『金持ち父さん、貧乏父さん』の本でした。
それこそ、何度も何度も読み返しました。
ロバートキヨサキさんのシリーズはロバートキヨサキさんの奥さまの作品も含めほとんど読破したのではないかと思います。
初めて読んだ時は実は理解ができませんでした。
ロバートキヨサキさんの概念の中にあるキャッシュフォークワドラントのS(Specialist)に医師は当てはまるのですが、それが不自由人である・・・、というようなことが書かれていました。
その当時は30代で専門医なども取得し、給料としても安定した収入を得ている時だったので、どうして、それが不自由な人に当てはまるのか?ということが初めは理解できませんでした。
ただ、繰り返し読み進めていく上で私が20代のころに感じた、働けなくなれば、収入が得られないことにより家族や自分を含めた大切な人を路頭に迷わせるんだ・・・、という概念にいきあたりました。
そういう概念を手にいれた後も、実際には何年も何も活動することができずにいました。
仕事で忙しかったということもあり、毎日を病院と家との往復をしていたという現状でした。
とりあえず、何かあったときのために、貯蓄に励んでおり、一か月○○円で暮らすとかそういうチャレンジを自分の中で課していたと思います。
結婚を機に投資家としてデビュー
初めて資産を手に入れたのはFPの資格を持つ、主人と結婚してからでした。
結婚と同時に自分たちの住む家を実際に探していたのです。
それが、偶然にも、購入する予定の家が高い賃料で賃貸に出せることが分かったので、「購入してみようか・・・」ということになりました。
その時はローンを組むことが怖かったので、現金で一括購入し、すぐに賃貸に出すということにしました。
それが、投資家としてのデビューでした。
購入した物件が賃貸に出せただけのビギナーズラックと思われれば、そうかも知れません。
ただ、実際に購入するにあたり、物件の環境を見に行き、本当にこの物件が賃料いくらで貸せるのか?客付けができるのか?ということを周辺の他の不動産屋さんなどに5~6件聞きに行きました。
医師はどうしても忙しいので、言われたことをそのまま裏をとるという確認をせずに購入にいたる方が多いと思います。その1件だけの不動産屋さんの話で購入を決定しているのではないか?と個人的には思います。
医師がお忙しいのは理解できます。ただ、それにより何千万ものローンを組んだり、支払いをするのであれば、その価値が本当にそれだけあるのか?を確認する意義があると思います。
私たち夫婦は、仕事の休みの土日に本当にその地元を歩いて回りました。
また、10年後のリセールバリューがどの程度あるのか?ということもあり、SUUMOなどの無料雑誌などからも情報を集めました。
後、実際に購入する物件が、賃料をいくらで貸出ができて、固定資産税や管理費などの各種諸費用をひいた後に、いくらとれるのか?10年後の想定賃料も含めて計算し、プラスになることを確認した後、物件を購入致しました。
その1件目の客付けがそれなりに苦労したのですが(新築のため、隣の家など同時に賃貸に出す家が多かったため)、その後は、その物件については、客付けに苦労することはなく、定額の一定収入を得るに至りプラスの利回りで回っています。
賃貸物件からの定額の収入を得た後は、それと自分の勤労収入を足して、2件目の物件のローン返済を繰り返すということをしました。一馬力でローン返済をするのと違い、ローン返済を手伝ってくれる賃貸物件があるので、すごく楽に2件目もローン返済が終わりました。
また、不動産を購入していくにあたり、基礎知識は、ロバートキヨサキシリーズなど本を読みました。投資本なども情報は玉石混交雑多に混じっていますので、実際にFIREに至ったかたの本など、それを達成されているかたのスタンスを理解するために本を何度も読み返しました。
自分が将来なりたい形の師匠の本を読む感じです。株式投資もウオーレンバフェットや桐谷さん(優待に強い)など投資だけで本当に食べていける人はある程度スタンスがありますので、そのスタンスが身につくまで、それこそ5~10冊レベルで読みました。
学びと同時にそういう手法を繰り返し、私達夫婦は不動産投資にていつでもFIREできる状況に至ることができました。同時に、株式なども手にいれています。
医師は資産運用に時間をかけることができない
おそらく、*何か物を購入するときには、貯金をして、それを購入する現金を集めて、購入するべき*という概念をご両親から言われた方もいるかと思います。
私の両親もそもそもはそういう考え方でした。だから、一生懸命に働いて、貯金をして、何かを購入するという考え方に慣れているのだと思います。
その概念は間違ってはいないのですが(安易にカードローンなどを組むべきではないという意味で)
多分、その考え方にとらわれると、自分が働けない状況=収入が得られない状況では、「慎ましい生活をせよ」という観念にとらわれることになるかと思います。
元本が保証されないという点から投資が怖いということは理解できますが、今、いつでもFIREできる私達夫婦からすると、自分の身体自身も病気など
完全にはコントロールできたりはしないのに、勤労収入以外の他の収入源を持たないことの方が何倍もリスクであるということを実感しております。
ただ、私自身は積立投資はしません。自分で相場のコントロールができないこと、及びどの銘柄に投資したかわからない状況があまり好きではなくて、それが理由です。不動産は場所さえ間違えなければ、リフォームとか自分で工夫できるところ、自分でコントロールできる点が気に入っています。また、生命保険料控除などをもらうために、元本の割れない型の生命保険は入っています。保険料控除取得を目的としています。
医師の資産運用においては、「時間がどうしてもかけられない」というところがネックになるかと思います。ある程度手をかけた後は、放っておいても、資産形成ができる形がいいのではないかと思います。
おそらく、デイトレーダーのように毎日取引を繰り返すということは病院勤務を継続しながらはできないと思うのです。
そういうスタンスがはっきりしているのであれば、株式も長期保有になると思いますし、不動産に関しても、基本は売買を繰り返すということを前提にしない・・・、ということかと思います。
そのため、医師である私自身が心がけていることは、物件や株式を購入する前に必ず、よく下調べをすること、ずっとその物件(不動産や株式)と長くお付き合いができるものであるか?ということをいつも考えます。それは、投資の神様であるウォーレンバフェットも同じスタンスで株式の長期保有を選択されています。
ウォーレンバフェットがいつまでも画面に張り付く必要なく、値動きを確認する必要のない株式を購入していたのと似ているかも知れません。
この体験がお役になったり、参考になりましたら幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
医師、作家、翻訳家、アクセサリー作家
医師として病院勤務後、外資系企業に勤務。
FIRE達成後より執筆活動を開始。
【代表作】
FIREできる私が語る:実際にFIREできる私達がたてた戦略及び参考の書(石黒書籍)
【受賞歴】
東京大学大学院薬学系研究科 医薬品評価科学 レギュラーコース優秀賞受賞歴あり
【資格】
総合内科専門医、糖尿病専門医、糖尿病療養指導医、メンタルヘルスマネジメント2、3級取得