はじめに
債券は、政府や企業などの発行体が、投資家に対して資金を借り入れるために発行する有価証券です。債券の購入にはタイミングが重要であり、金利が低い状態で購入すると受け取ることができる金利も低くなり、今後の金利上昇による価格の下落リスクもあります。
この記事では、債券を購入するときのタイミングと注意点について解説します。
債券とは
債券は、国や地方公共団体、企業などが、一般の投資家から資金の借り入れを行う目的で発行される有価証券で、投資家は債券を満期まで持つことでお金が返却され利子も得られます。債券には、国債、地方債、社債(事業債)などがあります。一般的に安全性の高い投資商品と見られ、投資家にとっては安全な投資先として選ばれているのです。
債券にはいくつかの特徴があり、主な特徴の一つは、債券の所有者が満期時に債券の額面金額を受け取れることです。また、時間の経過とともに一定の利息が支払われるクーポン債(利付債)や、額面より低い価格で販売され利息は支払われませんが、満期時に購入価格より高い価格で償還される割引債など、債券の種類もさまざまあります。債券投資のメリットとしては、利払いによる定期的な収入が得られることと、満期まで保有すればリターンが確定することです。
米国証券取引委員会 「債券とは」
債券を買うタイミングとは?
債券を買うタイミングは、それぞれの投資家によって異なりますが、一般的には、利回りが高い時期に購入することが望ましいです。債券の利回りは、経済状況やインフレ率などに左右されるため、市場動向を注意深く見て、適切なタイミングで購入することが重要です。また、債券は長期的な投資として考えられるため、長期的な市場の見通しを考慮することも大切です。
利回りがどの程度なのかは、各国の国債の10年債利回りを見るのが一般的です。日本の10年債利回りは、0.41%程度しかありませんが、米国10年債利回りは3.37%前後あります(2023年1月19日現在)。日本は低金利が続いていますが、世界各国では利上げをしている国が多いので、国内の債券よりも外国債券の方が利回りは高い傾向にあります。
債券を買うタイミングの難しさ
債券には、「円建て債券」と、ドルやユーロなどの外国通貨で発行されている「外貨建て債券(外債)」があります。外貨建て債券には、円建て債券にはない「為替変動リスク」があります。
為替変動リスクとは、外貨建て債券につきものの元本割れの恐れがあるリスクのことで、外貨建てで発行・償還が行われますが、満額で償還されたとしても、円換算した場合に為替変動により元本割れする恐れがあることです。「ヘッジ付き外債」は、現地通貨建ての外国債券の「リターン ー ヘッジコスト」がリターンとなり、為替変動リスクを回避できますが、ヘッジコストが発生します。また、債券(国債)利回りは通貨と関係があり、国債の利回りが上昇すると、通貨に対して影響を与えることがあります。
また、外債にはカントリーリスクもあります。カントリーリスクとは、投資先の国や地域の政治・経済情勢の変化により、証券市場や外国為替市場が混乱した場合に、投資資産の価値が変動する可能性のことです。
為替変動リスクやカントリーリスクを抑えるためには、分散投資を行うことです。そうすれば、高利回りを追求しながらもリスクの低減を図ることが可能です。
債券のリスクを下げる選び方
債券の金利は、一般的に発行者の信用力に基づいて決定されます。発行体の信用力は、「信用格付」に基づいて決定されます。格付けは、「ムーディーズ」や「S&P」といった民間の格付け機関が、市場での信用力をもとに独自にランク付けしたものです。たとえば、ムーディーズの格付けでは信用度の高い順にAaaからCまで分類され、信用度が高いほど発行体の安全性が高いと判断できます。
ムーディーズ 「信用格付について」
信用度の高い発行体には資金が集まりやすいので金利は低く、信用度の低い発行体には資金が集まりにくいので、比較的高い金利が設定されます。
債券投資を行う際には、金利とリスクのバランスを取りながら投資先を選ぶことが大切です。
初心者が債券を買うタイミングを教えます
債券を買うときは、金利の情勢を見極めることが大切です。固定金利型の債券は、購入時に設定された金利で利息が支払われます。金利が低下しているときには有利ですが、金利が上昇しているときには、市場金利を下回る利率で長期間運用することになり、収支的には不利になるからです。現在の金利情勢に合わせて期間を決めるのも一つの方法です。たとえば、金利が上昇傾向にあるときは、期間が短い債券を購入するようにします。また、外国債券を買うときは為替変動リスクがあるので、為替相場の動向もチェックするようにしてください。
まとめ
債券を購入するときは、金利や為替動向(外債の場合)に注意する必要があります。また、利回りが高くても格付けが低いと債務不履行(デフォルト)リスクが高まるため、必ず格付けをチェックするようにしてください。
一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。