ハードな現実世界を生きる孤高の富裕層が、羽を休めて非日常空間で一息つけるバーという隠れ家。今回は、昨今クリエイティブな知的富裕層の間で流行りの、スチームパンク、サイバーパンクといった、SFファンタジーの世界観を押し出した、ある意味ディープな流行最尖端のバーを世界中から厳選してご紹介してまいります。
目次
1.HR・ギーガー・バー/スイス
スイスのグリュイエール地方にある400年の歴史を持つお城の中に、1998年造形芸術家のH・R・ギーガーの博物館がオープンし、2003年に博物館内に同バーがオープンしました。
SF映画「エイリアン」でアカデミー視覚効果賞を受賞した同氏が、内装から家具やオブジェの選択まで手掛け、まるで映画のセットのような異次元空間が広がります。宇宙人になった気分で味わうお酒もきっと宇宙的な美味しさでしょう。
2.トゥルース・コーヒー/南アフリカ
南アフリカのケープタウンにある、「世界のベストカフェ」に選ばれているカフェ&バーです。ここは大人のコーヒーが有名で、200年近い歴史を持つ大釜を使って自家焙煎した、オリジナルブレンドに定評があります。
ブラジル、エチオピア、グアテマラといった名だたる原産地から厳選した挽き立ての極上コーヒーを、どこかノスタルジーを感じるサイバーパンクな店内でいただけば、その雰囲気の中にぐっと飲みこまれてしまうことでしょう。
3.オゾン・バー/香港
世界で第4位の高さを誇る「リッツカールトン香港」の118階に2010年に開業したバーで、世界一高い場所にあるバーとして有名です。当然その高さから地上を見下ろす「絶景バー」として有名ですが、屋内のキラキラしいメタリックな内装のデザインバーは比較的空いていて静かなので、ゆっくり大人のバータイムを楽しみたい方にはお薦めの高級バーです。
4.ブルー・フロッグ・ラウンジ/インド
インドのムンバイに広がる工場跡地に2007年にオープンした、ハードロック&ジャズ演奏が楽しめるミュージックバーです。複数のアーティストと共同ユニットで開業し、オーナーの納得の行くまでデザインを変えたというこだわりの店内は、インドなのにニューヨーク?的な、都会未来的な空間が広がります。料理も有名な「Indigo」と契約しておりグルメな料理が期待できます。
5.ウィンド・アンド・ウォーター・カフェ/ベトナム
ベトナム、ホーチミン郊外の新興住宅地にあるカフェ&バー&レストランで、2006年にベトナム人建築家ヴォ・チョン・ギア氏によって設計され、バンブーのみで作られたエスニックな建築が世界の注目を集めました。
完成後10年以上経った現在は、ややシャビーな朽ち具合が周囲の環境にうまくとけ込み、自然との調和を目指すカフェバーとして、今後もさらなる発展が期待されるお店です。
6.ジョーベン・ビストロ/ルーマニア
ルーマニアの小さな町Cluj-Napocaにある、アバンギャルド感満載のスチームパンクスタイルのバーです。SFの父と呼ばれたH.G.ウェルズやジュール・ヴェルヌのファンたちが集う場所として、ルーマニアのデザインスタジオ「The 6th Sense Interiors」がポップ&エキサイティング&エレガントなSFファンタジー空間を創造しました。
壁やオブジェの細部にまでこだわりが詰まったギャラリーカフェで、共通の趣味を語らいながら交わすお酒もさぞかし粋なエッセンスが詰まっていることでしょう。
7.バー・ラヴァル・ディ・トロント/カナダ
スペインのバルセロナやサン・セバスチャンに魅了されたオーナーのロビン・グッドフェロー氏が、2014年にカナダのトロントに開いたスペインのタパス料理を提供するバーです。
朝8時から開店し地元民に愛されるバーは、地元でスタイリッシュなレストランを複数手掛けるグラント・ヴァン・ガメレン氏が指揮をとり、波打つ曲線が特徴的なマホガニー製のカウンターを中心に、店内全体がガウディやダリを想起させる渦巻く木製カーブで仕切られるなど、独創的なアート空間を演出しています。
8.ラビット・ホール/タイ
タイ、バンコクのトンロー通りに2016年オープンしたオシャレ系のバーで、古いハリウッド映画に出てきそうなレトロ調シックなデザインの店内は、洗練された紳士淑女の集う隠れ家的な存在感を醸しています。
お酒の種類も豊富で日本のウィスキーも各種取り揃えています。2018年にはバンコクで「バー・オブ・ザ・イヤー賞」とバーテンダーの一人が「ライジング・スター賞」を受賞し、今後も目を話せない注目のオシャレスポットなのです。
9.ザ・クラウン・リカー・サルーン/アイルランド
北アイルランドのベルファスト中心部で1839年から続くヴィクトリアン調スタイルのパブで、1885年に再建、1978年にナショナル・トラストがオーナーとなり現在に至っています。
モザイクタイルやイタリアの職人が手掛けた木工彫刻、赤御影石の祭壇型カウンターバーなど、アイリッシュパブの伝統を感じさせるゴージャスなバーのステージを創り出しています。ギネスを片手にアイリッシュの伝統料理に舌鼓みすれば、古き良き時代のアイルランドの郷愁に浸れることでしょう。
10.アメリカン・バー~スタッフォード・ホテル/イギリス
ロンドンのセント・ジェームス中心部に位置する、17世紀の建物を改築した歴史ある5つ星ホテル「スタフォード・ホテル」内にあるバーです。380年の歴史を持つワインセラーを擁し、ロンドンでも最古のアメリカンスタイルのバーで、英国の伝統と米国の洗練されたモダンを融合させ独特な雰囲気を創り出しています。
ヴィンテージなお酒のコレクションや、ベン・ティッシュ氏が手掛ける地中海料理は上質で、クールな秘密の隠れ家的な存在感を放っています。
11.ザ・アビス・パブ/イタリア
イタリアのミラノにあるスチームパンクスタイルのバーで、ノルウェーで1180年から伝わる神話の怪物クラーケンに触発されたオーナーが、この神話的モンスターをバーの店内に飾りました。
各アームが9mというタコの怪物は守護神の役割もあり、天井に設置された10個のプロジェクターが海の3D視覚効果をもたらし、この怪物を生き生きと表現しています。
複数の前衛アーティスト達によって生み出された、まるで海中世界のようなファンタジー空間で、音楽演奏を聴きながら非日常にどっぷり浸れるバーなのです。
12.ポール・ハムリン・ホール/イギリス
イギリスのロンドンで300年近い歴史を持つロイヤルオペラハウスに併設された、歌劇幕間の休憩時間に利用する社交場としての役割を持つバー&レストランです。
オペラを楽しむ上流階級の目的はこのオペラハウスでの交流にあると考える人も少なくなく、フランスから取り寄せたワインやシャンパンを片手に社交の舞台をさらに広げる場所なのです。
ワインにはオペラ座オリジナルの銘柄もあり、水も無料でチェイサーとしてオーダーできるので、気軽な社交の場として誰でもその輪に入ることができます。
13.まとめ
非日常感満載のアヴァンギャルドなバーに共通するのは、誰でも受け入れる寛容さ、誰でも入れる気軽さがキーポイントのようです。芸術志向型の流行バーだからと言って気後れする必要もなく、異邦人を気取って異次元の世界に足を踏み入れるのもまた、孤高セレブの優雅な愉しみではないでしょうか。