債券は資産運用や投資に使える代表的な金融商品のひとつです。
債券には日本国債や社債など、いろいろな種類があります。仕組債もそのひとつです。
仕組債とはどのような金融商品なのでしょうか。仕組債の構造や投資する際のポイント、リスク、通常の債券投資との違いなど、基本的なポイントを解説します。
仕組債とは
仕組債とは通常の債券とは異なる構造を持つ債券のことです。1980年代頃に高利回りの債券として登場し、富裕層を中心に注目されました。
一般的な債券は満期や金利(クーポン)、償還金などが決まっています。仕組債は投資や資産運用する側のニーズに合わせて満期や金利などの条件を柔軟にカスタマイズできます。
仕組債は一般的な債券より投資や資産運用のニーズに合わせやすく、最低購入金額も高めに設定されていることが多いため、比較的富裕層向けの金融商品であると言えます。
仕組債の構造
仕組債の構造には2つの特徴があります。
・債券にデリバティブ取引がついている
・債券に関係する人(団体)が一般的な債券より多い
一般的な債券はお金の貸し借りをする金融商品です。
たとえば100万円を1%の利率で1年貸した場合、1年後に100万円が償還され1万円のクーポンを受け取れます。
仕組債はそれだけでなく、このような一般的な債券にデリバティブ取引が付属しています。
仕組債でよくあるのはEB債やリンク債などです。
EB債(エクスチェンジャブル・ボンド)は他社株転換可能債とも呼ばれる仕組債です。EB債は株式の個別銘柄に連動しており、価格変動によっては償還金の代わりに株式を受け取れる債券になります。債券に株式転換が付属した債券だと言えるでしょう。
リンク債とは株価指数連動債(株価指数リンク債)のことです。リンク債は日経平均株価の変動に合わせて償還金や利率が変動する構造の仕組債になります。
一般的な債券より仕組債の方が関与する人、団体が多いのが特徴です。
仕組債は構造上、債券を発行する母体の他に、債券を仕組債としてアレンジするアレンジャーやスワップを管理するスワップハウスなどが関与します。
仕組債を使うポイント
仕組債を資産運用や投資に使う際は、仕組債の構造を理解して使う必要があります。
仕組債のメリットやリスクに注意して資産運用のポートフォリオに組み入れるか、投資するかを検討することも重要です。
仕組債のメリットは2つです。
仕組債は一般的な債券より高い利率で運用できる可能性があります。
また、仕組債は投資金額次第で自分好みの債券にカスタマイズできる可能性があります。
仕組債を使う上での、リスク
仕組債を使う上で注意したいのは3つのリスクです。
・信用リスク(デフォルトリスク)がある
・ノックイン価格により元本割れの可能性がある
・利子(クーポン)が少なくなる可能性がある
仕組債も債券である以上、信用リスクがあります。
信用リスクとは、お金を貸した国や団体が財政難などの理由により返済できないリスクです。
仕組債は参考にする株式などのノックイン価格(あらかじめ定めた価格水準)を下回ってしまうと、元本割れのリスクがある点にも注意してください。
株価や日経平均などの指標を参照にする仕組債の場合、指標の変動によっては受け取るクーポンが減る可能性があります。
仕組債と債券投資との違い
仕組債は一般的な債券と異なり償還日前の売却が難しくなります。
一般的な債券は市場で売買できますが、仕組債は一般的な債券と構造が違っているため、市場で売却しにくくなってしまうのです。
カスタマイズ品やオーダーメイド品は「一般の商品と違うから」という理由で売却を断られることがあります。
仕組債も同じように考えると分かりやすいはずです。
一般的な債券は資産運用や投資の目的、方針、ニーズなどにより償還日前に売却することも少なくありません。
仕組債は売却が困難なので、償還日まで運用し続けることを念頭に投資した方がいいでしょう。
まとめ
仕組債は一般的な債券と異なるメリットとリスクがあります。
資産運用や投資の際はメリットだけでなくリスクにも注意して検討する必要があります。
仕組債への投資やポートフォリオへの組み入れを検討する場合はプロのアドバイスを受けてはいかがでしょう。