2019
03/15
最終更新日:2019/03/19
経済・マーケット

1.はじめに

オプション取引はヘッジ手段やレバレッジ効果、さらには現物取引ではできない損益パターンを創ることが可能な点で、非常に有用な投資手法です。本コンテンツではわかりやすくするために個別株式オプションを例に取り上げ、株式オプション取引の基礎をご説明します。

2.株式オプション取引とは?

オプション取引とは、①特定の将来時点または期間において、②特定の対象資産を、③現時点で契約した行使価格で、④購入または売却する権利を、⑤オプション料(プレミアム)と引き換えに売買することです。

原資産を購入する権利をコール・オプション、原資産を売却する権利をプット・オプションといいます。「権利」を売買する取引である点が、オプション取引を理解するうえでは重要です。

特定の将来時点とはオプションの権利行使の期限で、満期日とも言います。オプションの買方が買った権利を行使すると、対象資産を権利行使価格で購入できます。このときオプションの売方は、必ず買方の権利行使に応じなければなりません。

オプション料については、コール・オプションであれば権利行使価格が高くなるほど安くなり、逆にプット・オプションであれば権利行使価格が高くなるほど高くなることを押さえておいてください。
 

3.コール・オプションの例

あなたは市場で現在9,000円の値を付けているA社株の値上がりを見込んでいます。しかし、あなたは残念ながらA社株を買えるほどの資金を持っていません。

そこであなたは、現物を買う代わりにA社株のコール・オプションを買うことにしました。証券会社によれば、1ヵ月後満期のものでA社株のコール・オプションの行使価格は1株あたり10,000円と12,000円の2通りがあり、それぞれのオプション料は500円と300円です。

あなたは1ヵ月後のA社株に対し強気で、かつ手持ち資金も少ないことから、権利行使価格が12,000円と高くオプション料も安い300円のオプションを1,000株分購入しました。1ヵ月後、あなたの読み通りA社株は15,000円まで値上がりしました。

そこであなたは、購入したコール・オプションを12,000円で行使してA社株を入手し、直ちに市場で売却しました。このトレードの結果、あなたは以下のように270万円の利益を得ました。

①当初の支出(オプション料)=300円×1,000株分=30万円
②A社株の権利行使による利益=(15,000円-12,000円)×1,000株分=300万円
③差し引きの利益=300万円-30万円=270万円

 この場合、コール・オプションの売方はオプション料30万円と引き換えに15,000円のA社株をあなたに12,000円で1,000株分引き渡す義務が発生したことになります。
 一方、あなたの読みが外れ1ヵ月後のA社株価が12,000円に達しなかった場合、あなたはオプション料30万円の損失を出したことになります。逆に、売方は30万円の利益を得たことになります。

4.プット・オプションの例

現在、B社株は市場で10,000円です。あなたは近々B社株の値下がりを見込んでいますが、信用取引の枠に余裕が無いため空売りを断念し、プット・オプションを買うことにしました。

証券会社によれば、1ヵ月後満期のものでB社株のコール・オプションの行使価格は1株あたり9,000円と7,000円の2通りがあり、それぞれのオプション料は300円と100円です。あなたは、B社株に対する弱気な見通しに基づき、7,000円のプット・オプションを1,000株分購入しました。

1ヵ月後、あなたの読み通りB社株は5,000円まで値下がりしました。そこであなたは、購入したコール・オプションを7,000円で行使してB社株を売り付けました。このトレードの結果、あなたは以下のように170万円の利益を得ました。

①当初の支出(オプション料)=300円×1,000株分=30万円
②B社株の権利行使による利益=(7,000円-5,000円)×1,000株分=200万円
③差し引きの利益=200万円-30万円=170万円

この場合、プット・オプションの売方はオプション料30万円と引き換えに、5,000円のB社株をあなたから7,000円で1,000株分買い取る義務が発生したことになります。
一方、あなたの読みが外れ1ヵ月後のB社株価が7,000円まで下落しなかった場合、あなたはオプション料30万円の損失を出したことになります。逆に、売方は30万円の利益を得たことになります。
 

5.まとめ

株式オプション取引は様々な銘柄のコール・オプションとプットオプションの売買を組み合わせることで現物取引ではできない損益パターンを創ることが可能なため、ヘッジファンドなどの機関投資家が好んで行う取引です。

これをうまく活用することで、非常に低リスクな収益機会を得ることも可能なのです。まずは日経225やTOPIXを対象とする上場株価指数オプション取引から入って、オプション取引の世界をご自身で体感してみてください。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

<ご注意事項>

  • 当社の所属金融商品取引業者等は株式会社SBI証券、東海東京証券株式会社、エアーズシー証券株式会社です。
  • 当社は所属金融商品取引業者等の代理権は有しません。
  • 当社はいかなる名目によるかを問わず、その行う金融商品仲介業に関して、お客様から金銭および有価証券のお預かりを行いません。
  • 各商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。

[金融商品仲介業者]

商号等:株式会社ウェルス・パートナー

登録番号:関東財務局長(金仲)第810号

[所属金融商品取引業者]

商号等:株式会社SBI証券

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第44号、商品先物取引業者

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会

商号等:東海東京証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:東海財務局長(金商)第140号

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人日本STO協会

商号等:エアーズシー証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第33号

加入協会:日本証券業協会

ご相談はこちらから
お名前*
お名前カナ*
メールアドレス*
電話番号*
第一希望日*
ご希望のお時間*
第二希望日*
ご希望のお時間*
面談場所*
ご相談を希望するアドバイザー
当日は代表の世古口が同席する場合がございます。
大まかな保有資産額を教えてください。*
ご年収を教えてください
当社を知ったきっかけ*
ご相談内容
利用規約*
上記でご入力いただいた内容は、当社からの連絡や情報提供などに利用するためのもので、それ以外の目的では使用いたしません。
また、その情報は、当社以外の第三者が利用することはございません。(法令などにより開示を求められた場合を除きます)
詳しくは、個人情報規約をご覧ください。
https://wealth-partner-re.com/policy/