経済活動とは何か?
無人島で自給自足をする人でない私たち現代人は、人生を送る上で必ず経済活動を営みます。
あなたが今日食べたものも、着たものも、乗った電車も、見たスマホも、夜使った歯磨き粉も、全て、どこかの誰かがあなたに有料で提供したものです。
あなたは無人島で自給自足しているのではないですから。
それでは、そうした食品、衣料品、諸サービス(経済学では、全てを”財”と呼びます。)に対して、どうしてあなたは対価が払えたのですか?
その元手をあなたはどうして所有していることができたのでしょう? このような状態は将来も続くと考えられますか??
今更ながらに当たり前の質問をしましたが、日頃見聞きする経済成長とか、GDPとか、景気とか、私たちの生活に直結する話です。
経済成長、つまりGDPの伸びが鈍ったり下がったりすると、上記のありふれた一日の生活のどこかにシワ寄せが来てしまいます。
「贅沢をしようとは思わない。質素な暮らしをおくれればそれで良い。」という尊敬すべき考え方の人も、その質素な暮らしを続けていくだけの、しっかりした元手が必要です。
私たちの暮らしを、その水準を維持・発展させるためにもある程度の経済成長が必要と考えられます。あなたも薄々気付いてらっしゃるように、5年後10年後に今よりも生活水準が下がってしまう、つまり買えていたモノが買えなくなってしまう、というのはどんな人にも耐えがたいものです。
そして、その時、更にその先の生活が苦しくなってしまう、という予想が成り立つとしたら・・・ 考えたくもないですよね。
経済成長とともに重要なのが物価です。
1000円の貯金があるから、100円のモノを10回買える、それで十分、と考えていても、そのモノが120円に値上がりしてしまったらどうなるでしょう?
8回しか買えません。そう、預貯金は目減りするのです! ちょっと難しく表現すれば、預貯金は物価上昇によって相対的価値が減少するのです。
10年後に100万円が満期返戻金で戻ってくる保険に加入すべきかどうか迷っている人は、満期の頃に物価全般が現在のままであるかどうか、ある程度予想をすべきです。
オフィス街のランチが20000円程度、というような悪夢的状況になっているなら、楽しみに待った100万円の満期返戻金も、今よりも極めて価値の少ない金額になってしまっています。
そう、将来の固定金額は物価上昇によって目減りするのです!
こうして考えてみますと、経済成長とか、物価動向とかに興味をもっておくことは、単に教養を高めるというよりも、私たちの生活に直結する知識であるということがわかります。
知らないと損をする、という表現もあながち大げさではありません。知って、適切に対応しなければなりません。
無人島に一人で暮らすことを目指さないのであれば。
日本のGDPの前年比較での伸び率は上記のグラフで示されています。(出所:内閣府)
これは”実質”GDPと呼ばれるもので、平たく言えば、日本国内の経済活動の成長を示す重要な数値です。
経済活動とは、国内で生産し、流通し、消費される一連の活動の全貌を示していると考えて良いでしょう。
中間マージンが差し引かれる、といった詳細には立ち入りませんが、このGDPが前年よりも少ない数字になってしまうと、私たちの生活に不自由感や閉塞感が強まることは前ページで指摘しました。
ここ20年程度の日本のGDPの伸び方は、まずまずではあったものの、多くの人にその果実が行きわたるほどではなかった、と総括できます。
勿論、実質GDPが拡大したからといって全ての人がハッピーになることはないでしょう。では、どうしたら良いでしょうか?
今後連載していく本稿においては、様々な世界の荒波に対処ながら資産防衛を図るための基礎知識を述べて参ります。
次回記事:経済の機能として1番大切?!「金融」の役割って何か?
連載一覧:人生100年時代に備える!資産運用入門
(本稿は経済学の知識ではなく、株式を中心とする資産運用の基礎知識を学んでいただく目的で長期連載いたします。 ただし、”爆騰寸前30銘柄”といった内容ではないことをご承知おき下さい。)