目次
はじめに
金融市場で注目を浴びている劣後債。魅力的な投資先として名前を聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その特性やメリット、リスクを正しく理解せずに投資をすると、予期せぬリスクに直面する可能性があります。本記事では、劣後債のリスクについて徹底的に解説していきます。劣後リスクや繰上償還延期リスク、利息・配当繰延リスクなど、劣後債特有のリスク要素について詳しく掘り下げ、投資前に知っておくべきポイントを明確にしていきましょう。
劣後リスク
劣後債は、発行体が破綻(デフォルト)した場合、他の債券に比べて弁済順位が劣るという特性があります。つまり、借り手が経営破綻した場合、優先債の償還や債務保全措置を優先するため、劣後債の償還が困難になる可能性があります。その影響として、投資家が元本や利息を回収できないリスクが生じます。したがって、劣後債の投資は、商品内容を十分に理解し、企業の信用力や業績、格付けなどを考慮することが重要です。
繰上償還延期リスク
繰上償還延期リスクとは、債券が定められた満期よりも前に償還される「繰上償還」が予定通りに行われないリスクです。劣後債は、一般的に利回りが高い傾向にあります。これは、償還期限が延長される可能性があるためです。発行体が経営状況の悪化や資金調達の困難などに直面した場合、債務の一部を繰上償還することができなくなる可能性があります。その結果、投資家は予定通り元本を回収できない可能性があります。劣後債の繰上償還延期リスクを理解し、適切に管理することが大切です。
利息・配当繰延リスク
劣後債は、発行企業が財務状況の悪化などにより利息や配当の支払いが繰延される可能性があります。企業の業績や経済状況によって利益が低下した場合、発行体は償還能力を確保するために利息や配当の支払いを延期することがあるからです。投資家にとっては、予定通りの利息や配当を受け取れないリスクが生じるので、劣後債の利息・配当繰延リスクには注意が必要です。
劣後債への投資前に知っておくべきポイント
劣後債への投資を検討する際には、以下のポイントに注意する必要があります。
リスクとリターンのバランスの理解
劣後債は高い利回りが魅力ですが、返済順位が他の債券よりも劣るので、リスクも高まります。しかし、劣後債はドル建てが多いので、通貨のリスク分散効果もあります。リスクとリターンのバランスを十分に理解し、自身の投資目標やリスク許容度と照らし合わせて判断しましょう。
企業の信用力と財務状況の分析方法
劣後債に投資するには、発行体の信用力や財務状況を評価する必要があります。具体的には、以下の要素を考慮することが重要です。
1.企業業績
企業の収益性や成長性を評価します。これには、売上高や利益、営業利益率などの財務指標が含まれます。
2.財務状況
企業の資本や負債状況を確認します。たとえば、自己資本比率、負債比率、流動比率などが参考になります。
3.信用評価
ムーディーズやスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)など格付け機関による格付けを参考にします。格付けとは、企業が将来的に債務を返済できる能力を評価したものです。
4.市場の評価
株価やPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)など、市場での評価も参考にします。
まとめ
劣後債は、高いリターンを狙える投資先として注目を浴びていますが、その一方でリスクも伴います。劣後債のリスク要素を正しく理解し、慎重な検討を行うことが重要です。投資を始める前に、十分な知識と情報を得て、自身の投資目標に合わせた適切な投資をするようにしてください。
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