目次
はじめに
皆さん、こんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。
今回のテーマは、「今、富裕層が残存期間20年以上の『超長期米国債』に投資する理由とは」です。
最近、当社にご相談いただく富裕層のお客様から、「残存期間が20年、30年、あるいは40年近い米ドル建て債券に投資したい」というご要望をいただく機会が増えています。こういった「超長期米国債」の需要が高まってきている状況です。
もちろん、超長期債だけに限定するのではなく、さまざまな残存期間の債券を組み合わせながらポートフォリオを構築することが重要です。そのうえで、残存期間20年以上の超長期債の比率を高めたいと考える方が増えてきているのです。
では、なぜ今、富裕層の間で「超長期米国債」への関心が高まっているのでしょうか。今回は、その背景にある理由と具体的な投資戦略について解説します。
本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の推奨や投資成果を保証するものではありません。実際の投資判断にあたっては、ご自身の資産状況やリスク許容度を踏まえた慎重な検討が必要です。
富裕層が「超長期米国債」を選ぶ2つの理由
富裕層の方が「超長期米国債」に注目する背景には、現在の金利環境を踏まえた2つの理由があります。
理由①今の米国債利回りは高いという相場観
こちらは、過去20年間における米10年国債利回りの推移を示したチャートです。

直近の8月3日の利回りは4.7%です。過去20年の推移と比較すると、現在の4.7%の利回り水準は相対的に高い水準であることがわかります。2008年のリーマンショック以降、2021年〜2022年頃までは世界的な低金利時代が続いていました。過去5年の中で一時的に金利が上昇した局面もありましたが、わずか数ヶ月で低下しています。
こうした過去の相場観を踏まえ、富裕層の方の多くは「現在の利回りは相対的に高く、投資を検討しやすいタイミングである」と捉えています。「せっかくの機会なのだから、できるだけ長期間にわたって高い利回りを固定させたい」というニーズが、「超長期米国債」の需要につながっているものと考えられます。
例えば残存期間が10年の場合、この4.7%という相対的に高めの利回りのメリットを享受できるのは10年間に限られますが、残存期間が20年〜40年の長期債を保有すれば、より長い期間にわたって享受することができると考えます。ただし、実際の投資成果は売却時の価格、為替変動、利金の再投資条件等により異なります。
理由②残存期間が短い債券より利回りが高い事実
現在の米国債の利回りは、残存期間が短い債券よりも長い債券の方が相対的に利回り水準が高い状況にあります。こちらのチャートは、「米国債イールドカーブ(残存期間ごとの利回り水準を表す曲線)」です。

【米国債の残存期間別利回り】
3年債: 4.31%
5年債: 4.40%
10年債: 4.69%
20年債: 5.25%
30年債: 5.24%
特に注目すべきは「10年債」と「20年債」の差です。「20年債」は「10年債」に対して利回りが0.5%以上高くなっています。
債券投資において「利回り0.5%の差」は大きく、全体利回りの約1割に相当します。そのため、運用効率や収益性を考慮する場合、残存期間が短い債券よりも長い債券を多めに組み入れることで、ポートフォリオ全体の平均利回りを効率的に高めることが可能と考えます。
また、利回り水準を重視する場合、残存期間20年〜30年以上の債券をポートフォリオの一部として組み入れることも検討するという考え方もあります。
まとめ
最後に、今回のテーマである「今、富裕層が残存期間20年以上の『超長期米国債』に投資する理由とは」のポイントをまとめます。
ポイント1)今の相対的に高い水準の利回りを長期間固定したい
過去20年の推移を見ても、現在の米国債利回りは相対的に高めの水準にあります。こうした環境を踏まえ、20年・30年・40年といった長期間にわたって高い利回りを固定させたい富裕層の方のニーズが高まっています。「超長期米国債」は、こうしたニーズに対応する選択肢の一つといえるでしょう。
ポイント2)残存期間が「短い債券」と「長い債券」の利回り差が大きい
政策金利(短期金利)は引き下げ傾向にある一方で、インフレ等の影響により長期金利は上昇傾向にあり、残存期間が「短い債券」と「長い債券」の利回り差が拡大しています。債券ポートフォリオ全体の平均利回りを高めるため、より相対的に利回りが高い超長期債を多く組み入れる動きも見られます。
ポイント3)ポートフォリオ全体で格付けA台以上・残存期間20年以上・利回り5%前後を目標とする
残存期間が20年以上の超長期債に投資する場合、発行体の倒産リスクを極力下げることが非常に重要であるため、格付けがA台以上の信用力の高い債券を中心に選定することが有効といえます。また、現在の市場環境では米国債20年~30年債の利回りについても、5.2%程度になることが多くあります。
以上のことから、格付けが高めの債券や残存期間20年以上の債券を組み合わせながら、信用力と利回りのバランスを考慮し、ポートフォリオ全体で5%前後の利回りを目標とする考え方もあります。
ポイント4)ラダー型を基本に、超長期債を多くして「平均残存期間20年前後」を目指す
ポートフォリオの中で超長期債だけに偏るのではなく、短期〜中期の債券も組み合わせる「ラダー型」を基本とする考え方があります。そのうえで、現在のように長期債の利回りが相対的に高い環境では、超長期債の比率を通常よりも増やし、ポートフォリオ全体の平均残存期間を20年前後に設定する富裕層の方もいらっしゃいます。
平常時の金利環境では、ポートフォリオの平均残存期間を10年前後に設定することが一般的です。しかし現在では、相対的に高い金利水準を考慮し、通常よりもさらに残存期間が10年ほど長い債券を取り入れる手法も一つの選択肢となっています。
本日は「今、富裕層が残存期間20年以上の『超長期米国債』に投資する理由とは」という内容でお届けしました。
資産運用やポートフォリオ構築における「超長期米国債」の活用方法について、より詳しく知りたい方やご相談をご希望の方は、ぜひ当社の個別相談をご利用ください。