金利は債券市場で決まります
前回お話したいろいろな“市場”の中でも、金融や経済にとって非常に重要な役回りをするのが債券市場です。
普段のニュースでは株式と為替市場が特に強調されるキライがありますが、我々の経済社会において
根幹をなすのは債券市場であると言っても過言ではありません。
何故なら、債券市場こそが金利を決定する場であり、家計も企業も年金の運用も、金利に決定的な影響を受けるのは言うまでもないことですし、株や為替の相場も、金利によって大きく左右されるからです。
世の中の金利は、銀行や政府が決めるのではなく債券市場で決まる、というシンプルな事実を改めて確認したいと思います。
債券市場の主要な参加者は金融機関等のプロであり、ここで取引される債券の値段が金利すなわち債券の利回りを決めます。
そう、債券には値段があるのです。多くの場合、債券には満期があり(償還という用語もよく用いられます。)、100という値段で償還を迎えます。最終の値段は100になるのです。
保有している途中で受け取れるクーポン(利札)が、債券投資のいわば魅力ですが、それに加えて、100で満期を迎える当該債券(の銘柄)を今、いくらで買ったかによって生じる損益が問題になります。
クーポン部分は最初から決まっていますが、買い値は買付けを行ったその日の債券市場で値段が決まりますので、債券投資の総合的な損益は買値が問題になるわけです。
クーポンが1%ついていて、現在の値段が98、償還までの期間が丁度1年という債券があるとしますと、総合的な単利“利回り”は3%になりますね。
クーポンで1%、値上がり益が2%あるからです。ちょっと難しい表現では、インカム・ゲインが1%、キャピタル・ゲインが2%ある、ということになります。
新聞に出ている国債の値段をみますと、ほぼ全銘柄、100以上となっています。そう、現在は、キャピタル・ゲインがマイナス(値下がり損!)という値段でほとんどの国債は取引されているのです。
このグラフは、代表的な長期金利と言われる10年物国債利回りの推移です。見事に右下がり。つまり金利は低下傾向を続けています。2016年3月末段階ではマイナスに沈んでいることは報道等でご存じの方も多いでしょう。
マイナス利回りという未体験ゾーンについてより深く知りたい方は、個別にお問い合わせ下さい。
債券市場(特に国債市場)で形成される金利は、株や為替に大きく影響します。どうか、債券市場にもご注目を。
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