2020
05/12
最終更新日:2020/05/13
経済・マーケット

はじめに

今年の11月3日は、米大統領選挙の投票日です。

共和党候補は現職のトランプ大統領、民主党候補は前副大統領のバイデン氏に固まりました。本稿では、半年後に迫った大統領選の行方を考察してみたいと思います。

1.世界一過酷な選挙戦

米大統領選は、世界一過酷な選挙戦と言われています。まず、党の候補者を決めるために予備選を戦わなければなりません。

共和党の場合は、基本的に現職大統領が候補となるのであっさりトランプ氏に決まりましたが、民主党の場合はそうはいきません。

半年にもわたる予備選挙を行って、初めて民主党としての統一候補が決まるのです。

米大統領選では、予備選挙の段階から非常に高いレベルの戦略が必要になります。各州での演説会の開催やテレビCMを打つために、まず資金獲得戦略が必要になります。また、ボランティアを統率し効果的に支持率を上げるために、高度な選挙戦略が必要です。

もちろん、候補者の体力やバイタリティーも求められます。頭脳と体力のすべてを問われるのが米大統領選挙なのです。

当初、民主党の候補はバイデン氏以外にもサンダース氏、ブルームバーグ氏などがいましたが、予備選挙が進む中で淘汰されていきました。そして、最終的にバイデン氏が民主党の正式な候補者となりました。

2.大統領選の初期はトランプ氏優勢

基本的に、米大統領選挙というのは現職大統領に有利です。大統領は野党の候補者と比べてテレビへの露出度も桁違いですし、自らが行った政策をアピールすることができます。

現に、選挙戦が始まったばかりの時期はトランプ大統領に対する支持率がバイデン氏を上回っていました。現職大統領なのだから当たり前です。また、バイデン氏は78歳という高齢というのも米国民から敬遠されたものと思われます。

さらに、3月初めにはトランプ氏にさらに追い風が吹きます。新型コロナウイルスの流行です。新型コロナウイルスの蔓延に対してトランプ大統領は「私は戦時下の大統領である」と述べ、国民を鼓舞しました。

米国民は「戦時下の大統領」という言葉の響きに弱いところがあります。例えば、支持率が低迷していたブッシュ大統領も、イラク戦争を開始した瞬間に支持率が跳ね上がりました。

例にもれず、トランプ大統領の支持率も跳ね上がりました。ロックダウンや入国拒否など矢継ぎ早に対策を繰り出すトランプ氏の姿に、米国民は強いアメリカの大統領の姿を見たのです。

3.新型コロナで風向きが変わる

しかし、新型コロナウイルスの流行が人々の予想を上回ってくると、米国民のトランプ大統領への見方が変化し始めました。

米国の新型コロナウイルス感染者数が100万人を突破し、死者は5万8300人超とベトナム戦争の死者数(5万8220人)を上回ったという報道は米国に衝撃を与えました。米国民は「トランプ大統領の初動が遅かったのではないか」「トランプ大統領のコロナ対策が甘かったのではないか」と考えるようになったのです。

米国で最も感染が深刻な状況となっているニューヨーク州のクオモ知事が「政府の対応が遅すぎた」とトランプ大統領の批判を展開したことも、トランプ大統領にとっては逆風でした。

その結果、投票日まで6カ月を切った現在、重要な「スイングステート」(二大政党の候補の支持が拮抗する接戦州)における世論調査において、民主党のバイデン氏がトランプ大統領をリードしているという状況になっています。

4.半年後の大統領選の行方は?

しかし、投票日の11月3日までには新型コロナの流行は落ち着くでしょう。そうなると、問題は米経済がどの程度回復しているかという点がポイントになります。

4月の雇用統計は、非農業者部門雇用者数が2,050万人減少、失業率が14.7%と歴史的な数字となりましたが、今後この数字が上向くことは間違いありません。

なぜなら、米国は日本と違いロックダウンなどの厳しい処置を取ることで、経済活動を再開できる状態まで持ってきています。今から経済活動を開始すれば、選挙日の11月までには、失業者がどんどん減っていくことは間違いありません。それを、トランプ大統領は自分の成果として高々とアピールするでしょう。

米国の株価もトランプ大統領への支持率を左右することになります。足元の株価は堅調であり、経済活動が再開されれば今後も株価は上昇トレンドを維持するものと思われます。そして、株価の上昇とともにトランプ大統領への支持率は高まっていくでしょう。

5.まとめ

これまで、米大統領選の行方について見てきましたが、トランプ大統領が再選を果たすことはほぼ間違いないと思います。

これは、日本にとってはよいことです。安倍総理とトランプ大統領は、非常に良い関係を築いています。

そのため、トランプ大統領は中国には強硬姿勢で臨む一方、日本に対しては非常に友好的です。当初懸念されていた自動車関税については、今や話題にも上がりません。

しかし、選挙には何が起こるかわかりません。4年前は「ヒラリー当選確実」と言われていましたが、実際に大統領になったのはトランプ氏でした。

世界に影響を与える米大統領選挙の行く末を、みんなで見守ろうではありませんか。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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