【海外不動産を持っている方必見】意外と知らない海外不動産は相続手続き『プロベート』が大変?!②〜国際相続の手続き方法とは〜

はじめに

前回、日本とアメリカの相続手続きの違いや、プロベートについて簡単に説明いたしました。
今回は、実際に国際手続はどう進めればいいのか、どのぐらい税額控除があるのかをお話いたします。

【第1回目】
【海外不動産を持っている方必見】意外と知らない海外不動産は相続手続き『プロベート』が大変?!①〜国際相続について解説します〜

国際相続の手続き

それでは、国際相続が発生したら、どのように相続の手続きを進めれば良いのでしょう? 
海外に資産がある場合でも、被相続人が日本人であれば、日本は相続統一主義を採用しているため、遺言書に準拠し、あるいは遺産分割協議をして、遺産相続を行うという基本的な流れは変わりません。

ただし、海外にある財産は、日本の民法に従って遺産分割をしても、必ずしもその効力が認められるとは限りません。既に記載した通り、国際相続の場合は、不動産とその他の財産を区別して考える、相続分割主義を採用している国もあるからです。

従って、まず財産の所在を調べ、財産所在地の相続法を確認した上で、具体的にどのような手続きが必要なのかを把握しなければなりません。

また、仮に被相続人が在日外国人である場合は、遺産分割についても、被相続人の本国法を調べてからでなければ、相続手続きを進めることはできません。

なお、国際相続では、日本の税務署へ申告する作業と、海外の税務署へ申告する2つの作業が発生し、相続が発生した際に、被相続人、相続人のどちらか片方でも住所が日本にある居住者の場合は、原則として国内外の資産全てが相続税の課税対象となります。

一方、被相続人と相続人が共に10年以上日本の非居住者であった場合は、国外財産は課税対象ではなくなりますが、居住者か非居住者かの判断は、日本での滞在日数や、実質上の生活拠点があったかどうかで判定され、単に日本で住民登録をしているかいないかといった、形式的なものではありません。

年の半分以内の滞在か否かと言う、いわゆる183日ルールと呼ばれる基準も、概ねの基準に過ぎず絶対ではありません。あくまで家族の生活状況や、日本滞在時の居住地、滞在日数などの要素から、総合的に実態に則して判断されることになります。

外国税額の控除

国際相続の場合、日本の税務署と海外の税務署の2つへ申告することになるため、仮に国外財産に遺産税(相続税)が課税されると、日本の相続税と二重課税になってしまいます。このため、以下のように外国で課税された相続税相当額を控除することが認められています。

(1)海外で既に納税済みの場合
日本での納税時に、外国で納税した相続税相当額を控除する

(2)海外で未だ納税がなされていない場合
日本の相続税額を、一旦そのまま申告、納税し、後日「更正の請求」に基づき、控除分の返納を受ける

なお、この場合、控除または返納される金額は、「外国での相続税相当額」と、下記算式で計算した金額を比較し、いずれか小さい方の金額になります。

ただし、控除または返納される金額は、あくまで相続税に該当する税金にのみ限定されることに注意しましょう。

例えば、検認裁判(プロべート)に伴い、相続財産が遺産財団に譲渡される際、国によっては譲渡税が課税される場合がありますが、この譲渡税は相続税とは性質が異なるため、外国税額控除の対象にはなりません。

税務署は海外資産に注目している

国税庁は租税回避に厳格に取り組んでおり、年末時点で5千万円を超える海外財産を所有している場合は、国外財産調書を提出しなければならないなど、様々な対応措置を講じています。(2019年11月時点)

また、富裕層全般に対して、特に監視対象とするべき人物やその家族を、「重点監視富裕層」に指定して監視を強化していますが、その監視対象には、当然海外への送金額や、投資額も含まれていると考えた方が良いでしょう。

税務署が海外資産に注目していることは間違いなく、各国の課税当局との情報連携も強化されてきています。

税務署も、よもや国外財産までは把握しづらいだろう、などと安易に申告しなかったり、意図的に過少に申告したりすると、重加算税が課せられるリスクがあることを、十二分に認識して置きましょう。

まとめ

海外財産の相続は、国内法だけでは処理できず、手続きなども非常に複雑です。例えば預金を例にしても、引き出すまでの手順は煩雑で、まず相続人であり、権利者であることを証明しなければなりません。

そのためには、日本の相続に関する法律を説明し、戸籍や遺産分割協議書などの日本の相続に関する書類を、英訳しなければなりません。

その上で、自身で現地に赴いて交渉することになりますが、それが困難な場合は、現地の専門家に、代理で手続きしてくれるよう依頼する必用があります。特に不動産については、現地の相続の専門家だけではなく、ブローカーなどの協力も得る必要もあるでしょう。

このように、国内資産だけの相続なら、特に税理士や司法書士などの士業に依頼しなくても、自身で手続きできる知識やノウハウを有しているという方でも、国際相続については、現地の専門家に依頼しない限り困難であり、それ以前に、国内で国際相続の実績が豊富な専門家の手を借りない限り、現地の専門家にたどり着くことさえ容易ではないのが現実でしょう。

海外に資産を持っているなら、可能であれば被相続人が元気なうちから、検認裁判(プロべート)への対策を含めた相続対策全般について、事前に専門家に相談しておくのが理想ですが、万一相続が発生してしまった場合には、迷わず専門家を頼った方が無難と言わざるを得ません。

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