【経済アナリスト 森永康平が語る!】コロナウィルスによる株価急落局面で何を考えるか?こんな時こそ「長期・積立・分散」投資が大切!?

はじめに

新型コロナウィルスの感染が世界に拡大していることで、2月の最終週から世界的に株式市場が急落しました。日本の株式市場だけではなく、欧米でも主要株価指数が1週間で10%以上下落しています。

3月に入ると今度はNYダウが史上最大の上昇幅を記録するなど、株式市場のボラティリティが上昇しています。今回は株価急落局面で投資家が考えるべきことについて書いていきます。

今回の株価急落の背景にあるのは何か?

今回の株価急落局面について、メディアでは新型コロナウィルスの感染拡大による経済への悪影響を懸念した売りと表現されることがあります。それ自体は筆者も同感ですが、「コロナウィルスの経済への悪影響を株価が織り込んでいる」や「バブルが崩壊して暴落する」という解説には疑問を感じています。また、「リーマンショック」と同等、またはそれ以上のものとして扱われている報道も見ますが、それにも少し違和感を覚えます。

未だに特効薬が見つからず、感染力も致死率も明確になっていないなかで、感染範囲だけがグローバルに拡大していくことで、投資家が不安になって保有しているリスク資産の一部を売却するのはよく分かります。

今回の急落のきっかけは、このような不確実性に対する投資家の防衛反応でしょう。

しかし、この短期間での急落は、昨今のインデックス運用やリスクパリティ運用の金額が巨大になってきた影響も大きいと考えています。つまり、運用方針の仕組み上、機械的に売りが出てオーバーシュートしているだけであり、長期間一方的に株式市場が下落するというよりは、急落後に一旦反発はするでしょう。

その後は経済への影響が統計・データによって明らかになったり、ウィルスについての全容が明らかになることで、株価が先んじて織り込んでいくという流れとよんでいます。

また、リーマンショックが発生した当時は、信用収縮(クレジットクランチ)が生じており、投資家だけではなく金融機関が疑心暗鬼になっていました。しかし、今回の急落局面において、短期の金利市場などを見ている限りでは、少なくとも執筆時点(3月2日)では信用収縮は見られません。

つまり、このタイミングでリーマンショックを持ち出したり、それをもってバブル崩壊で暴落という偏った報道は無視すべきでしょう。

投資家にとって重要なのは胆力

今回の急落局面において、SNS上では「保有株を損切りした」や「積み立て投資をやめた」などのコメントを多く見ましたが、資産形成のために投資をしているのであれば、長期での投資を前提としているため、このような短期間の急落で投資方針を変えてしまう事はあまりよくないことです。

そもそも資産形成において、長期・積み立て・分散ということが基本になりますが、その理由は将来の相場の動きは誰にも正確に予測することができないからです。

だからこそ、投資先を1つに集中させずに分散させたうえで、機械的に一定期間ごとに一定金額で買い続けることが推奨されているのです。

それにもかかわらず、今回のような急落局面において、定期的な積み立てをやめてしまったり、はたまた安くなったからという理由で通常より多くの金額で投資をすることは、投資方針が相場の変動によって崩されてしまっていることを意味します。

優秀な投資家と聞くと、相場の予想が正確だったり、トレーディングが上手な投資家をイメージするかもしれませんが、将来のことを正確に予測できない以上、実は胆力がある投資家こそが優秀なのです。

日本は世界の中でも不利な状況

運用の仕組み上の問題から大きな売りが出て急落したあと、一時的にある程度反発したうえで、その後は新型コロナウィルスの影響によって株価の動きが決まっていくと前述しました。それでは、今後の株価の行方を決める日本経済はどうなっていくのでしょうか。

筆者は日本は新型コロナウィルスの悪影響だけでなく、昨年10月の消費増税や暖冬・台風など天候要因もあり、世界の中でも非常に不利な状況にあると思っています。

先日発表された2019年10~12月期の実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率-6.3%と市場予想を上回る大きな落ち込みとなりました。なかでも、個人消費を表す家計の最終消費支出は同-11.4%でした。

今回の増税時には軽減税率など複数の措置が講じられたにもかかわらず、この結果ですので、消費増税によって想像以上に個人消費が落ち込んでしまったことが分かるでしょう。
下図は前回と今回の消費増税前後のGDPにおける個人消費を品目別寄与度でグラフ化したものになります。

前回の増税時と比較すると、駆け込み需要が小さかった割に、「耐久財」や「半耐久財」の落ち込みが大きいことが分かります。消費増税による消費の冷え込みに加え、台風による消費機会の減少や農作物への被害、暖冬による冬物衣料や暖房器具が不振となったことも追加要因となったのでしょう。このことから、日本の個人消費は外部要因に左右されやすいことが分かります。

既に新型コロナウィルスの影響で大型のイベントが自粛されたり、大型ショッピングセンターが時短営業をしていますから、2020年の1~3月期のGDPなど、今後発表される経済指標も軒並み悪いものとなるでしょう。この予想に基づけば、日本の株式市場に対して明るい見通しを持つことは難しいかもしれません。

まとめ

投資の世界に絶対はありません。だからこそ、長期・積立・分散ということが強く推奨されています。株価が急落すると、その後はボラティリティが高まり、急騰と急落を繰り返す可能性が高まります。

資産形成のための長期投資をしているのであれば、日々の株価変動に狼狽するのではなく、最初に決めた投資方針を貫きましょう。どうしても難しいという方は、一時的に株価のチェックをしないなど、相場から距離を置くのもいいかと思います。

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