はじめに
菅内閣が発足して早2か月以上が経過しました。昨今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が著しく、感染者数が過去最大を更新する日々が続いています。第3波とも呼べる感染者数の多さに、対応に追われていることでしょう。
そんな中でつい最近まで“学術会議任命拒否問題”が話題となっていました。最近では、新型コロナの話題の中に埋もれてしまっているようですが、少し前までは毎日のように話題となっていました。
そこで今回は、改めて学術会議任命拒否問題の話題が発生した場合に、ある程度理解できるよう「学術会議任命拒否問題は何が問題なの?」について、詳しくお伝えしていこうと思います。
学術会議任命拒否問題について
菅内閣が発足して間もない10月1日、日本学術会議の新会員について推薦が行われましたが、会員候補のうち6人を菅首相が任命しませんでした。このことが報じられ、SNSでは「#日本学術会議への人事介入に抗議する」と多くの方がツイートしました。また、野党からの批判も相次ぎ、話題となりました。
そもそも日本学術会議とは、科学が文化国家の基礎となる確信のもと、それらを浸透させていこうとする機関です。日本学術会議は内閣府の所轄のもと、政府とは独立して職務を行うものとされています。
任命拒否はあくまでも合法
今回、任命されなかった6名は任命拒否について、「日本学術会議の独立性を否定するものであり、違法である」との見方を示しました。しかし学術会議の任命は、現会員等によって推薦された人を首相が任命する形をとっており、今回菅首相が任命しなかったことは何ら違法性はありません。
そもそも過去を振り返れば推薦=任命となっており、推薦された方は当然任命されるものとした前例が作られていました。このことを鑑みれば、任命されなかった6名は予想外の結果となり、驚くのは当然のことでしょう。
なぜ問題となっているのか
今回、日本学術会議任命が問題になっている理由は3つ
・違憲問題
・政府解釈の変更
・監督権の行使
です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
【違憲問題】
まず、今回の任命拒否が憲法にある「学問の自由の侵害」に当たるのではないかといった問題。あくまでも任命権があるだけであって、拒否権があるわけではないという見方から、違憲性を訴えたものです。
【政府解釈の変更】
過去に政府は、学術会議会員の任命はあくまでも形式的なものであって、「総理大臣の任命で会員の任命を左右するもので左右するものではない」とされています。にもかかわらず、解釈を変えて、任命拒否をしたことに批判が集まっています。
【監督権の行使】
監督権についての明記はされていませんが、一定の範囲内においてできると解釈されたことが問題となっています。
菅首相は、今回の任命しなかった6名について、「個人の人事にはお答えできません」としています。しかし実際には、前例主義の打破や推薦者の研究または業績の欠如が原因であると推察されています。
過去を振り返れば推薦=任命となっており、研究・業績の欠如と合わせ考えれば、任命拒否も理解できるストーリーです。しかし、上記で紹介したことが問題となっており、今後も厳しく追及されていくことになるでしょう。
まとめ
今回、日本学術会議任命拒否問題についてお伝えしました。
本来、日本学術会議は現会員等に推薦され、内閣総理大臣が任命をするものでした。しかし、前例を振り返れば、推薦=任命となっており、今回のようなことが発生して問題となっています。
菅首相も明言を避け、国民等からの不信感も募る一方です。新型コロナが一段落した頃にはまた話題となるでしょう。そのときにはしっかりと説明責任を果たしていただきたい限りです。