2019年の日本経済は世界経済の減速に同調。今年の日本経済見通し

はじめに

2019年年初は、一日で5円の為替相場が上下する波乱の展開で幕を開けました。
平成の時代の最後の年、消費税増税を控え日本経済はどうなるのでしょうか。
日本経済の見通しをまとめてみました。

【日本経済】

・外需は懸念材料が多く、内需の動向がポイントとなる
・消費増税は最大のリスク要因ながらも、安倍政権の景気対策により個人消費のカンフル剤として作用する可能性もあり

日本経済は米中貿易摩擦の影響による外需の減少を、2020年の東京オリンピックを控えた投資活動などの内需でカバーできるかがポイントとなります。最大の焦点は10月に導入される消費増税です。

(1)不安材料の多い外需

2018年は一人勝ちともいえる米国を中心とした外需に支えられた日本経済でありましたが、トランプ減税により向上した企業収益も来期は減税効果が薄れることや、米中貿易摩擦の激化が世界経済の大きな足かせとなっており、日本経済の今後にも大きな不安材料となっています。

米中の貿易交渉の方向性が不透明さを増していることから、世界的に投資活動が停滞しており、また5Gを巡る覇権争いも激しさを増しており、中国の情報分野への部品供給にもブレーキがかかっています。世界中で複雑に絡み合ったサプライチェーンにおいて米中の貿易摩擦の影響は軽視できず、外需は減速が予想されます。

また米国の貿易赤字は中国が最大の相手国ですが、自動車の分野に限っては、日本に対する貿易赤字が突出しています。今後の日米間の貿易交渉の中では自動車分野における厳しい要求が米国から出される懸念もあります。

(2)内需はオリンピック特需や消費税対策に注目

国内ではオリンピックや万博を控えた建設需要に引き続き期待が集まります。オリンピック特需については建設工事ではすでに一巡し、2019年は懸念要因との見方もありますが、インバウンド対応も含め、幅広い分野で環境整備は続くものと思われます。

また昨年多発した自然災害への対応として、防災を目的とした国土強靭化投資も継続することから、公共投資などで継続した需要が見込まれます。

一方建設業やサービス業を始めとして人手不足が深刻です。2018年11月に完全失業率は2.5%で、2015年の年平均3.4%・2016年の3.1%・2017年の2.8%と失業率の低下が続いています。有効求人倍率は1.63倍でリーマンショック後の2009年の0.47倍をボトムに上昇を続けています。

人手不足は人件費率の上昇などで企業活動には悪影響を及ぼす一方で、賃金上昇や高齢者等の労働参加による就業者数の増加により個人消費の伸びが期待されます。
また今年4月から始まる外国人労働者の受け入れは、各企業での対応に注目が集まります。

その他AI技術の進化により企業の省力化投資はニーズが高まっています。金融機関をはじめ幅広い業界でAIを活用した業務効率化投資が行われる見通しです。

年末からの原油価格の下落は、生産・流通コストの低下の面で企業収益には好材料です。米国の原油生産能力の増加で、当面は原油価格が50-60ドル台で安定的に推移するものと見込まれるており、企業のコスト圧縮に寄与するものとみられます。

今年10月に予定されている消費税増税は大きな懸念材料です。過去の消費税率引き上げ時には増税前の駆け込み需要があるものの、その後の反動の落ち込みが大きく、景気に悪影響が残りました。

安倍政権は、今回の税率引き上げにあたっては、あらゆる手を使って落ち込みを防止する構えを見せております。
軽減税率の導入・住宅減税・自動車減税・キャッシュレスポイント・プレミアム商品券・幼児教育無償化・低所得高齢者への助成など政策を総動員しています。当面の歳出増加には目をつぶり消費税増税による景気の冷え込みを防ごうとしています。

消費税増税はマイナス要因ではありますが、これだけの規模の対策を打つと増税対策の実施が予想以上に個人消費のカンフル剤となる可能性があり、増税対策の実施がプラス要因として受け止められはじめています。

2019年の日本経済は外需における不安材料を、内需でどの程度下支えできるかに注目が集まります。

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