2019
06/12
経済・マーケット

はじめに

2019年5月15日アメリカ政府が中国の通信機器大手・華為技術(以下:ファーウェイ)に対し、事実上の製品供給の禁止措置を発動しました。

事の発端はファーウェイの持つ「5G技術」にあり、多くの基地局(図1参照)や技術を有しておりさらにその製品がアメリカに出回ることでアメリカの機密情報が漏洩するとの懸念を示したことにあります。

(引用元:SankeiBiz

中国には「国家情報法」があり、つまり中国政府が国内の民間企業に情報を要請するとすべて手に入るのでファーウェイが得たアメリカの情報を、中国政府が手にいれるということになります。
これに対しアメリカ政府は「国家安全保障上の問題」と位置づけ、制裁に踏み切りました。

さて、ますます規制が厳しくなるアメリカ政府の対応ですがファーウェイにとってはむしろプラスになるのではないでしょうか。
その点を踏まえ、本記事ではファーウェイの未来についてお話していきます。

問題の「5G」とは?


(引用元:Newsweek日本版

5Gは自動運転から家電まで、あらゆるものを無線かつ大容量・超高速・低遅延で繋ぐことができる機能を指します。
つまり従来の4Gよりも機能性に優れ超高速で、あらゆるものを伝達できる技術なのです。

世界経済に与える影響

5Gは今までの通信技術にイノベーションを与えるもので、それによりアメリカ政府が国家安全保障上の問題と位置づけ禁輸措置をとりましたが果たしてどれほどの経済的損害が生まれるのでしょうか。

まずファーウェイの売上高は約12兆円で、世界から7兆円ほどの部品を調達しそのうちアメリカからの輸入が約1.1兆円もあります。
この時点で制裁措置のマグニチュードは大きいでしょう。

さらにアメリカは中国からの輸入品に対する第4弾の制裁関税を準備しています。

これが発動されると中国の輸入品に関税が上乗せされることから、アメリカ企業はスマートフォンの価格を引き上げることになり、アメリカの消費が抑え込まれることになるでしょう。

ちなみにアメリカはGDPのうち約7割以上が個人消費なので、消費が減速すると景気減速する未来も近いのではないでしょうか。

さらにアメリカ企業であるAppleは世界中から部品を調達し、中国の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下のフォックスコンの工場でiPhoneを組み立てて世界中に輸出しているので、制裁関税や禁輸措置によりGAFAの一角であるAppleにも悪影響が及ぶことになるでしょう。

ファーウェイは世界トップレベルの通信技術を持っており、研究開発費は世界5位の水準を誇っています。
ファーウェイのハイエンドスマホの場合、使われている部品の約6割が海外メーカー製品であるため禁輸措置の影響はかなり大きいでしょう。

日本への影響を考えると中国に対する輸出額はGDPの年間約4%に達するので、海外輸出に支えられた日本経済にもかなりの影響を与えるでしょう。

こういった米中貿易戦争を背景に、今年の4月末時点では米中貿易戦争の緩和を期待し日経平均株価は上昇を続けていましたが5月に入るとこれらの制裁措置により日経平均は続落し、20000円付近まで落ち込みました。

ファーウェイの未来

以上のようにアメリカ政府のファーウェイに対する制裁措置は世界経済の減速を招きやすいと考えられますが、禁輸措置によってむしろファーウェイの未来は明るいかもしれません。

例えばファーウェイはGoogleのAndroidが使えなくなった場合、最速で今秋にも自社OSを開発し使い始めるという方針を示しています。
これまでパソコンのOSはWindowsやiOS、Linuxの3つが主軸であり、携帯電話のOSはAndroidやiOSが主軸でした。

つまりパソコンがWindowsで携帯電話がiOSの場合、2つのデバイスがうまく連携せずシナジーを発揮することができませんでした。

しかしファーウェイの世界トップレベルの技術により、パソコンと携帯電話の単一OSが開発されるかもしれません。
そうなれば今までパソコンと携帯電話で単一のOSを使えていたのはiOSだけでしたが、ファーウェイも新たに単一OSを開発することでイノベーションが起こる可能性があります。

最後に

5Gを発端に始まった禁輸措置ですが最終的にはアメリカ経済を減速させ、さらには世界経済も危険にさらす事態になりそうです。
一方でファーウェイの世界トップレベルの技術は新しいOSの開発に繋がり、さらなるイノベーションを生み出すかもしれません。

長期化する米中貿易戦争の中、中国政府の習近平国家主席は共和党の保守派からの批判が出始め、アメリカ政府のドナルド・トランプ大統領は大統領選挙への準備もあるため両者とも引けない状況になってきました。
今後も長引く可能性の高い米中貿易戦争ですが、ファーウェイによりイノベーションが起こればそれを世界中に広げるために一刻も早く、解決するべきだと考えます。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

<ご注意事項>

  • 当社の所属金融商品取引業者等は株式会社SBI証券、東海東京証券株式会社、エアーズシー証券株式会社です。
  • 当社は所属金融商品取引業者等の代理権は有しません。
  • 当社はいかなる名目によるかを問わず、その行う金融商品仲介業に関して、お客様から金銭および有価証券のお預かりを行いません。
  • 各商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。

[金融商品仲介業者]

商号等:株式会社ウェルス・パートナー

登録番号:関東財務局長(金仲)第810号

[所属金融商品取引業者]

商号等:株式会社SBI証券

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第44号、商品先物取引業者

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会

商号等:東海東京証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:東海財務局長(金商)第140号

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人日本STO協会

商号等:エアーズシー証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第33号

加入協会:日本証券業協会

ご相談はこちらから
お名前*
お名前カナ*
メールアドレス*
電話番号*
第一希望日*
ご希望のお時間*
第二希望日*
ご希望のお時間*
面談場所*
ご相談を希望するアドバイザー
当日は代表の世古口が同席する場合がございます。
大まかな保有資産額を教えてください。*
ご年収を教えてください
当社を知ったきっかけ*
ご相談内容
利用規約*
上記でご入力いただいた内容は、当社からの連絡や情報提供などに利用するためのもので、それ以外の目的では使用いたしません。
また、その情報は、当社以外の第三者が利用することはございません。(法令などにより開示を求められた場合を除きます)
詳しくは、個人情報規約をご覧ください。
https://wealth-partner-re.com/policy/