はじめに
世の中には、思ってもみなかったことが起きるものです。今回の新型コロナウイルスの流行は、まさにそれです。
世界中の誰も、新型コロナウイルスがこんなに深刻な影響を及ぼすとは思っていませんでした。
中国の武漢で「新型肺炎が発生」というニュースを聞いた時には、世界中の人々は「これは中国国内の問題だろう」「以前にはSARSが話題になったが収束しているし問題ないだろう」という認識がほとんどでした。
しかし、新型コロナウイルスは事前の予想と異なり世界中に広がりました。米国では10万人以上の死者、英国では5万人以上の死者を出しています。
一家の大黒柱が突然コロナウイルスの感染症でなくなったら、残された遺族はどうやって生活していけばよいのでしょう。
生命保険というのは、普段の生活においては「いらないんじゃないか」と思うものですが、いざというときに入っていないと本当に悲惨なことになります。
1.死亡保険への加入は絶対に必要なのか
生命保険文化センターの「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」(P137)によれば、世帯主に万が一のことがあった場合に、遺された家族が暮らしていくのに必要と考える生活資金の総額は「5,560万円」でした。
家族を養っている方は、万が一の際に遺された家族が暮らしていくためには、まとまったお金が必要となります。
生活費はもちろんのこと、子どもがいれば学費についてどうするかも問題になります。
確かに、公的保障として遺族年金が存在します。しかし、遺族年金と預貯金だけで十分と言える方は、ほとんどいないと思われます。
たとえば、遺族年金の額は、会社員で「標準報酬月額35万円、配偶者あり、子ども1人あり」という条件なら月額約13万円となり、これだけで生活していくのは、現実的に考えて不可能です。
死亡保障を確保するのに役立つ生命保険は、定期保険、収入保障保険といったいわゆる「掛け捨て」の保険です。これらの保険に加入すれば、月々数千円程度の保険料で、数千万円単位の死亡保険金を確保できます。
「掛け捨て」はもったいない、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、保険は貯金ではありません。「掛け捨て」にすることで安い保険料で高い保障が得られます。
安いお金で「人生の安全」を買っているという発想に転換することが大事です。
2.養う家族がいる場合の生命保険
生命保険の必要性の有無を決める最大のポイントは、自分に養うべき家族がいるか否かという点です。
まずは結婚していて、なおかつ就学中などで独立していない子どもがいるパターンを考えてみましょう。
自分に万一のことがあった場合、家族の収入が断たれることになります。
特に、子どもがまだ幼い場合には、生活費だけでなく、教育費のことも考えなければなりません。
子どもの将来まで見通して、遺された家族に十分なお金を用意しておく必要があります。
この場合、家族に十分なお金を遺すのに適切な生命保険は「定期保険」もしくは「収入保障保険」です。
いずれも保険料掛け捨て型の生命保険であり、比較的安価な保険料で数千万円単位のまとまった金額の死亡保険金を確保できます。
異なるのは、保険金の受け取り方です。定期保険が「●千万円」等のまとまった額を一括で受け取るしくみなのに対し、収入保障保険は「月●万円」など給料のように受け取るしくみとなっています。
3.ライフプランニングの重要性
養う家族がいる方はたくさんいらっしゃると思います。
しかし、その人その人ごとに収入の状況、住宅ローンの状況、お子様の数などが異なりますので、一概にどの保険が良いのかというのをお示しすることはできません。
そのため、生命保険の必要性を判断し、適切なプランを選ぶには、信頼のおける専門家のライフプランニングを受けることをおすすめします。
なぜなら、保険金額を過不足なく設定するには、まず、今後のライププランを確認した上で、住居費、生活費、子どもの学費の想定額、老後の生活費等がいくら見込まれるか、趣味やレジャーにいくらお金がかかるか、どんなことにお金を使いたいのかまで計算する必要があるからです。
もちろん、いざという時に受けられる公的保障がいくらなのかも計算に入れる必要があります。
それらが分かって初めて、どのような保険に入ればよいのかということがわかります。
もし、万一の場合に保障が足りなくなったら残された家族は路頭に迷うことになります。そして、逆に多過ぎれば、その分の保険料が無駄になります。
そういった事態に陥らないように、必ず専門家のライフプランニングを受けることをおすすめします。