金融政策がマーケットに与える影響とは?財政政策と金融政策の違いについてわかりやすく解説します!

はじめに

内閣府が発表した今年4月の景気動向指数は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、景気の現状を表す指数が前の月から7.3ポイント悪化。悪化の幅は、統計が比較できる1985年以降で最も大きくなりました。

4月は外出自粛や緊急事態宣言の発動など、人為的に経済を止めて抑制してきたので、消費が大きく落ち込んだのです。景気が悪化した場合、どのような政策を行えばいいのでしょうか。

財政政策と金融政策の違い

今回のような景気悪化に対抗する手段として、「財政政策」と「金融政策」があります。
財政政策とは、インフラ整備などに代表される公共投資や家計の給付金支給、企業や家庭に対する減税措置などがあります。今回の新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化に対しても、政府の緊急経済対策の財政支出が39兆円と過去最大になる見込みです。

中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円を給付。国民全員に現金10万円の一律給付やアルバイト収入が落ち込んだ学生への最大20万円の給付など、さまざまな支援策が講じられています。

もう一方の金融政策とは、中央銀行(日銀など)が政策金利を引き下げたり、世の中に出回るお金の流通速度や量を調整したりして経済活動に影響を与える方法。つまり、世の中のお金の量を調整することで、経済を安定的に成長させようとする政策なのです。

世の中のお金を増やす政策を「金融緩和政策」といい、減らす政策を「金融引き締め政策」と言います。日本国内に流通しているお金の量が変わると、景気が良くなったり悪くなったりします。

金融政策が景気や物価に与える影響

金融政策で世の中にある現金を増やす方法は2つあります。1つは金利の操作。2つ目は出回っている現金そのものを増やす方法です。

金利が下がると、金融機関は低い金利で資金を調達できるので、個人や企業への貸出においても金利を引き下げることが可能です。また金融機関の貸出金利だけでなく、企業が社債発行などで市場から直接資金を調達する際の金利も低下します。

そうすると、企業は従業員への給料の支払いや仕入れなどに必要なお金(運転資金)や、店舗建設や工場などの設備投資に必要なお金を調達しやすくなるのです。また、個人も住宅購入のための資金を借りやすくなります。

その結果、経済活動が活発化し、景気が上向くのです。このように、景気を向かせるために行われる金融政策を「金融緩和政策」と呼んでいます。かつては、公定歩合を変えることで金利を操作し、世の中の現金の量を変えてきました。公定歩合とは、日銀が一般の銀行にお金を貸し出すときの金利です。

しかし1996年に金融ビッグバンが起こって自由化が進み、銀行が預金金利や貸出金利を自由に設定できるようになりました。ですから、日銀が直接金利を操作できなくなったのです。しかし、日銀は金融機関同士がお金の貸し借りをするときの金利(無担保コール翌日物金利)を変えるようにしました。日銀は公定歩合の代わりに無担保コール翌日物金利を変化させることで、間接的な金利を操作しようとしているのです。

しかし日本は1999年以降、ほとんどの期間においてゼロ金利政策を採用しているため、無担保コール翌日物金利(短期金利)の操作を通じた伝統的な手段は長らく用いられていません。しかし、通貨供給量のコントロールを通じて経済を動かすという枠組みは現在も変わりません。

もう一つ、日銀が金利を通じてではなく、直接的に世の中の現金を増やす方法があります。それが「公開市場操作」で、日銀が銀行の保有している「国債」を購入するのです。

国債とは国が発行する債券のこと。銀行は日銀に国債を売って代金を現金で受け取ります。すると、銀行が持っている資産の金額は変わりませんが、持っている現金の量が増えます。

銀行はそのお金(現金)をもとに企業や個人に貸付を行うと、世の中にお金が流通します。その結果、景気が良くなるのです。

株価は経済に先行する

4月27日に日銀は、国債購入額の上限撤廃を軸とした追加の金融政策を決定。中小企業向けの資金繰り支援策で拡充する公開市場操作では、オペを利用する金融機関には利用残高に応じて日銀の当座預金に0.1%のプラス金利をつけました。

金融緩和を行っているのは日本だけではありません。米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備理事会)は、企業や家計を支援するため、4月に最大2.3兆ドルの緊急資金供給策を発表。ECB(欧州中央銀行)も、量的金融緩和策を拡大しました。3月に新設した7,500億ユーロ(約190兆円)の資産購入枠を、6月4日に6,000億ユーロ増額し、1兆3,500億ユーロに拡大したのです。

いずれも新型コロナウイルスの感染拡大による経済への悪影響を防ぐため、金融緩和に踏み込む形となりました。

積極的な経済対策と大胆な金融緩和により、株式市場は急激な回復となっています。NYダウは3月23日に18,213.65ドルの安値をつけましたが、6月になって27,000ドル台を回復。日経平均株価も、3月19日の16,358.19円から23,000円台を回復するまで上昇しています。

財政政策と金融緩和により各国の市中に出回っているお金の供給量が増え、バブル的な株高の要素が強まっているのです。とくに米国の市中に出回っている通貨の総量を示す「マネーストック」は3月以降に急増しています。

FRBが米国内に供給するマネタリーベース(世の中に直接供給するお金)と、米国以外の各国中央銀行が外貨準備として保有する米ドルを合算した世界のドルの流通量を示す「ワールドダラー」は、5月に8兆ドル(約870兆円)を超えました。これは、コロナショック前の株高局面だった2019年末から3割増え、過剰流動性が短期間に急増したことがわかります。

金融緩和による大量の資金供給は、株式などリスク資産の上昇を招きます。実体経済の悪化は続くものの、FRBなど中央銀行による金融緩和に支えられたリスク資産の上昇は、今後も続くとみられているのです。

まとめ

コロナショックによる景気悪化は深刻ですが、過去にない規模の財政政策と金融緩和によって、株式市場はバブル的な上昇となっています。3月から6月までの上昇が急ピッチだったので、調整局面に入る場面もあるかもしれませんが、今後もリスク資産を押し上げる流れは続くでしょう。

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