目次
はじめに
2019年6月18日、米IT企業Facebook(以下、FB)が独自仮想通貨Libra(リブラ)を発表しました。
2020年前半にも導入予定で、国際送金システムへの利用が見込まれます。
国際送金システムは昔から「手数料が高い」と問題視されていて、今回のブロックチェーンを用いたFBの送金システムは国際送金のあらゆるコストを削減します。
本記事では、ブロックチェーンを用いた国際送金システムが革命的な技術で、多くの人の生活をより豊かにするということをご説明していきます。
これまでの「送金」の問題点
我々がお金を3者に振り込む際、手数料やタイムラグなど様々な問題があります。
振込手数料が高い
現在、国内の預金金利は限りなくゼロに近く、銀行の預金口座で資産運用すると年率リターン1%を実現することすら難しい時代になっています。
一方で、送金の手数料を考えるとインターネットバンキングが普及し始めてからも従来の手数料は下がることなく維持されたままで、例えば現時点で少額のお金を送金するとなると216円、高額の送金になるともっと手数料がかかります。
預金金利ではほぼリターンがなく金利は下がり続ける一方で、送金手数料は従来から放置されたままなのです。
つまり、振込手数料は割高になっています。
国際送金の手数料はさらに高い
国内の銀行から海外の銀行に送金する際、「海外送金手数料」、「関係銀行手数料」、「円為替取扱手数料」の3重の手数料がかかります。
メガバンクで国際送金を利用すると1回で約1万円の手数料がかかり、さらに相手に振り込まれるまでに約1週間のタイムラグがあります。
送金システムのニーズ
世界銀行のデータによると2017年の個人間国際送金は年間約5733億ドルにのぼり世界中で国際送金の利用が高まっています。
現在の国際送金では特に、送金のタイムラグ、高い手数料など不便さが目立っています。
そういった不便さから2017年にはイングランド銀行がブロックチェーンを用いたRippleの送金システムの実証実験を行ったり、2018年にはFRBが国際送金システムの基盤としてRippleの技術を評価する報告書を発表しています。
リブラが可能にすること
リブラとは?
リブラはFBが開発した独自仮想通貨で2020年前半に正式稼働を目指しています。
FBのサービス利用者は世界で約27億人の巨大な顧客基盤を持っている企業であり、協賛企業は、Visa、MasterCard、PayPal、Uber、eBay、Spotifyなどの決済機関や巨大顧客基盤を抱える企業です。
仮想通貨は現在ボラティリティが大きく資産としての有用性はかなり低いという問題がありますが円などの法定通貨や国債などの複数の資産に100%裏付けられるためステーブルコインとしての側面を持ち、実用性を高めています。
実際、リブラは仮想通貨でありながらベネズエラ通貨ボリバルという現実の通貨よりも安定していると言われています。
リブラでより豊かになる社会
リブラはまずFB利用者から普及していきますが「国際送金の利便性を高める」という観点ですぐに世界中で利用されるでしょう。
協賛企業もVisaやMasterCardのようなすでに実店舗で取り扱いされている企業なので導入・普及のハードルは低そうです。
リブラはスマートフォンのアプリで利用可能で、国際送金の際にも銀行にいちいち出向かなくても済みます。
さらに上述した通り、国際送金では手数料が高いという問題がありますがブロックチェーンを用いれば手数料はゼロになります。
そして国際送金では1週間程度のタイムラグがありますが「数秒」まで縮められるのです。
この革命的な技術は、国際送金から日常的な買い物などにも利用されるでしょう。
Rippleも国際送金システムへ
2019年6月19日Rippleは送金業世界的大手のMoneyGram(マネーグラム)と提携を結んだことを発表しました。
同社は2016年に「内外為替一元化コンソーシアム」を立ち上げ国際送金システムにブロックチェーンの導入を考え現在まで開発を続けています。
Googleなどの巨大IT企業が出資しており、日本では最大手ネット証券のSBIホールディングスが共同で開発を進めています。
国際機関である世界銀行は2018年に行われた実証実験で「コストを40%~70%削減し、平均支払い時間は2分」であると高く評価していて、2017年にはアブダビ国立銀行が同社の国際送金サービスを提供していて、同年にイングランド銀行は実証実験を行いました。
さらに、メキシコの非銀行系金融機関Cuallixにより2018年1月に実証実験開始を発表したばかりであり、2018年5月10日には、実証実験にて米国-メキシコ間の送金コストの削減並びにスピード向上が確認されたと発表しました。
今後の仮想通貨の展開
Rippleも早期にFBと同様のサービスを開始が見込まれていて、18日のFBの発表を受けて「業界にとって大きな一歩だ」と前向きなコメントをしています。
国際送金システムから仮想通貨の普及は拡大されていき、ICOなどのさらなるビジネスへの仮想通貨導入が仮想通貨市場の安定・信頼を構築し多くの人が仮想通貨を利用する時代が来るでしょう。