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経済情勢や金融政策を判断するイールドカーブ(金利曲線)とは

2018/11/21

経済・マーケット

はじめに

中央銀行の金融政策や経済情勢を判断するプロットの1つとして「イールドカーブ(金利曲線)」というものがあります。残存期間と国債利回りをグラフ化したもので、金利政策によって景気の過熱を抑制したり長期金利の将来的低下を予測したりするためのインジケータともいえるイールドカーブ。

ここでは、イールドカーブの仕組みとよく使われる「順イールドカーブ」、「逆イールドカーブ」そして両者の違いについてご説明します。

1.イールドカーブとは

イールドカーブとは横軸を残存期間、縦軸を金利(利回り)として期間に対応している利回りをプロットし、つなぎ合わせて描かれる利回り曲線(金利曲線)のことを指します。金利の世界では基本的な考え方として、短期は1年以内、中期は5年程度、長期は10年程度、超長期は20~50年程度とグループ分けされプロットされる金利については国債の利回りを利用している場合が多いです。

では、イールドカーブは何の為に作成されるかと言うと、期間の長短が生み出す利回りの差分でもある金利の期間構造(タームストラクチャー)を分析する際に用いられています。また、視覚的に様々な形状に変化することからその時々の金融情勢や経済状況を把握することが可能になります。

2.順イールドカーブとは

順イールドカーブは形状が右上がりになることを指しています。金融マーケットにおいて短期金利より長期金利の方が高くなっている状況で通常、長期金利は短期金利を上回ることが多いのでイールドカーブは順イールドカーブの状態が一般的です。

また、順イールドカーブは景気上昇の予兆として見られることが多く、中央銀行の金融政策の緩和・引き締めの影響を見る際に特に注目されます。中央銀行が金利を引き上げる時は、過熱感のある景気を冷ます意味合いを持つことから市場でのリセッションが意識されやすくなります。

その際、順イールドカーブの形状であれば景気の腰を折ることなく金融政策が過熱感を押さえたと一般的に見られます。一方、逆イールドカーブの形状になってしまうとリセッションが起こりやすく、景気が転換する場合があります。

3.逆イールドカーブとは

逆イールドカーブは、短期金利が長期金利を上回り、イールドカーブが右下がりの曲線を描いている状態を指します。逆イールドカーブは順イールドカーブの対極にあり、市場が将来的な金利下落を見込んでいるとされ景気後退のサインとし認知されています。

日本で唯一、逆イールドカーブが確認されたのは1989年~1991年にかけて起きたバブル崩壊後であり、この時期には将来的な景気の悪化による政策金利・長期金利の将来的低下が容易に予測されたと言われています。アメリカでも2006年に政策金利よりも10年の米国債(国債)の金利の方が低い逆イールドカーブが確認されました。

一般的に、逆イールドカーブが発生する条件として目先のインフレ懸念が強いことや、短期金利が急騰していることが挙げられます。

4.順イールドカーブと逆イールドカーブの違い

上記のように順イールドカーブが右上がりで短期金利より長期金利の方が高い状態を表す一方で、逆イールドカーブは右下がりで長期金利より短期金利の方が高い状態を表していることが分かります。そして、逆イールドカーブが景気減退の予兆とみられる場合が多いですが必ずしもそうではありません。

逆イールドカーブになり予想通りに景気が減退したのち中央銀行が利下げを行えば、近い将来景気が加速しやすい傾向になります。一概に景気後退の予兆、株価下落と考えずに経済情勢や金融政策を見ながら景気判断をした方が賢明です。

5.イールドカーブコントロールとは

近年、「イールドカーブコントロール」というワードを耳にするようになりました。これは黒田日銀総裁が行った金融政政策の1つで2016年9月から採用され、黒田バズーカとも呼ばれています。正式には「長期金利操作付き量的・質的金融緩和」と言います。

既に行われていた異次元緩和の影響により、一部マイナス状態の短期金利とともに長期金利も大幅低下していた為、ほぼ同レベルでフラット化していた状況にありました。これを是正する目的で、2つの金利をそれぞれ別に操作してイールドカーブを立たせるために導入されたものです。

まとめ

経済情勢や金融政策を判断する上で欠かせない「イールドカーブ」。順イールドカーブと逆イールドカーブについておさらいしましたが、両者ともいずれも景気上昇・下降の場面で見られる形状であり逆イールドカーブだからと言って景気減退のサインではないことがお分かり頂けたと思います。

今後も、引き続き各国の金融政策・経済情勢・イールドカーブを把握し、現在どの段階にいるのか正しい判断ができるようになりたいものです。


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