国内籍投資信託と外国籍投資信託の違いを比較!メリット・デメリットは?

1.はじめに

銀行や証券会社などの販売会社で投資信託を探すと、その多くが国内籍投資信託です。その一方で、銘柄数は限られていますが「外国籍投資信託」を扱う販売会社も存在し、購入の勧誘を受けたことがある方もいらっしゃるのではないかと思われます。
外国籍投資信託にはヘッジファンドやプライベート・エクイティなど国内籍投資信託とは異なるプロ向けの運用を行っているファンドもあり、日本の銀行や証券会社が主に扱う国内籍投資信託とは異なる運用手法や投資対象により、有り得ない運用パフォーマンスを得ることもあります。

いずれはこのような運用方針の投資信託も購入してみたいという方向けに、本コンテンツでは国内籍投資信託との違いを比較しながら外国籍投資信託の概観について見てみます。

2.国籍

国内籍投資信託が日本の法令に基づいて設定された投資信託であるのに対して、外国籍投資信託は外国において外国の法令に基づいて設定されたものです。日本で販売されている外国籍投資信託は、ケイマン・ダブリン・ルクセンブルクなど、タックスヘイブンと呼ばれる税率の低い国で設定・管理されているものが大多数を占めます。

3.通貨

元本・純資産額・基準価額の全てについて国内籍投資信託は円建てで表示しますが、外国籍投資信託は現地通貨建てで表示します。もっとも、ここ数年は外国籍投資信託でも運用通貨を円にすることで元本・純資産額・基準価額を円建てで表示する「円建て外投」が増えています。

4.投資対象

日本の投信法や投信協会諸規則は、国内籍投資信託の運用方法や投資対象などについて厳しい規制を設けています。例えば、投資対象について「投資信託財産総額の2分の1以上を有価証券に投資する」などとしています。

この有価証券にはリミテッド・パートナーシップなど集団投資スキームの持分などの「みなし有価証券」は入っておらず、さらにスワップやオプションなどデリバティブ取引のエクスポージャーを取りたい場合でも国債などの有価証券に投資しなければなりません。

また、誰でも購入可能な公募の投資信託では1つの発行体へ過度に投資しないための「分散投資規制」や、デリバティブ投資へのエクスポージャーを制限する「デリバティブ取引に起因するリスク量規制」などにより、投資対象や運用手法が限られるため非効率と考えられることもあります。

この点、ケイマン籍などの外国籍投資信託は投資対象の自由度が極めて高いことに特徴があります。そのため、外国籍投資信託であれば国内籍投資信託に比べて投資対象・手法に多様な選択肢が生まれます。例えば、投資対象を仮想通貨のみとする投資信託は国内籍では設定できませんが、外国籍投資信託であれば可能なのです。

5.多様な分配方針を策定可能

国内籍投資信託の場合、分配金は投信託協会が規定する計算ルールに基づいて算出され、運用成果に応じた分配対象額についても規定を設けています。また、運用の果実を分配する「普通分配金」や、基準価額の上昇による普通分配金支払い後の含み益に応じて投資元本が払い戻される「特別分配金」があり、制度がやや複雑です。

外国籍投資信託には、このような規制がありません。例えば、運用成果によらず無制限に分配が可能であり、計画的に資金を取り崩すような運用も可能です。なお、毎月分配型の国内籍投資信託で本来なら不可能なタコ足配当ができるのは、分配金の払い出しについて規制が無い外国籍投資信託を投資対象としているためです。

6.まとめ

外国籍投資信託の運用手法や投資対象は、多くの銀行や証券会社などの販売員にとって理解と投資家への説明が難しいことと販売会社の事務作業が嵩むため、やや敬遠されがちです。

しかし、外国籍投資信託の販売・勧誘について一部のプライベート・バンクでは専門知識に長けたバンカーによる投資家への堅実なフォローが可能であり、ラインナップも豊富です。もし外国籍投資信託に興味をお持ちであれば、商品知識が豊富かつファンドの供給ルートを持っているIFAなどに相談してみることも一案です。

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