2020
04/09
経済・マーケット

新型コロナ感染拡大が世界中に広がる

WHO(世界保健機関)は、3月11日に新型コロナウイルスについてパンデミック(感染爆発)との認識を示しました。これまでも各国政府は感染が拡大している国からの入国を制限するなどの措置を講じてきましたが、このパンデミック宣言を受けて、本格的な封じ込め策をするようになりました。

とくに、感染拡大が爆発的に広がりつつある欧米を中心に、国境封鎖や外出規制などが強化され、経済活動悪化懸念が強まっているのです。

新型コロナウイルスの感染は、3月27日現在で世界の177カ国・地域に広がっています。とくに米国での感染者数は10万人の大台を突破して中国を上回り、世界最多となりました。

欧州では、イタリアの感染者数が8万人を超え、死者は世界最多の9,000人となっています。新型コロナウイルスは高齢者が重症化しやすいとされています。イタリアは65歳以上の人口比率が約23%とEU(欧州連合)加盟国で最も高く、死者の増加に拍車がかかっているのです。

新型コロナウイルスの抑え込みを狙った外出・営業規制は世界に広がっています。飲食店は軒並み休業で、街からはヒトの姿がなくなっているのです。

アメリカやイギリス、イタリアや中国など複数の国でロックダウン(都市封鎖)が実施されていて、外出禁止の対象人口は世界の3分の1に相当する規模になっているのです。

日本でも東京や大阪など大都市で「外出自粛要請」がでており、今後も感染拡大が続けばロックダウンを招く恐れがあります。

歴史的な下落相場となった3月

株式市場は2月から下落していましたが、3月はさらに加速。米国の代表的な株価指数であるNYダウは18,213ドルまで下落。2月の高値29,568ドルからの下落率は38.4%にも達しました。

日経平均株価も1月の高値24,115.95円から16,358.19円まで下落。下落率は33%となりました。一般的に株価が高値から20%下がると弱気相場入りといわれています。日本の2019年10-12月期のGDP(国内総生産)は年率7.1%減で、2020年1-3月期もマイナス成長となればリセッション(景気後退局面)になります。

米国でも2020年1-3月期はマイナス成長となり、4-6月も大幅なマイナス成長になるとの予測もでています。世界各国がリセッション入りする可能性がある中、世界の株式市場はどうなるのでしょうか。

世界各国の金融緩和と経済対策

景気悪化や株式市場の下落に対し、各国で金融緩和が積極的に行われています。FRB(米連邦準備制度理事会)は3月3日に0.5%、15日には1%の利下げを決定してゼロ金利政策を再開しました。また、イングランド銀行(英中央銀行)も11日に0.5%、19日には0.15%の利下げを決定。

ECB(欧州中央銀行)は追加利下げこそ見送りましたが、2020年末まで1,200億ユーロ分の資産買い入れを決定しました。日本銀行(日銀)もETF(上場投資信託)の購入額を、年間6兆円から倍の約12兆円まで増やし、積極的な買い入れをおこなっています。

さらに、積極的な経済対策も行われています。

トランプ政権と与野党の議会指導部は、25日に新型コロナウイルス対策として2兆ドル(約220兆円)規模の景気刺激策で同意しました。4月をメドに家計に現金を給付するほか、企業支援にも9,000億ドルを充てます。国内総生産の10%にあたる巨額対策で、景気底割れ回避を目指しているのです。

3月28日までに、世界で7兆ドルの量的緩和と5兆ドルの財政出動が決まりました。2008年のリーマンショックの時を大きく上回る規模で、合計すると中国のGDP(国内総生産)に匹敵します。

政策当局のなりふり構わぬ資金投入によって、26日のNYダウは22,552.17ドルまで上昇。直近の安値からの戻りが20%を超え、弱気相場から抜け出しました。

自粛はいつまで続ければいいのか

今回の新型コロナウイルスの特徴として、感染しても8割の人が軽症で、無症状の人も一定数いることが指摘されています。

ただ、ワクチンや抗ウイルス薬がない状況で、国内でも欧州のように感染者が爆発的に拡大する懸念が残ります。集団感染を避けるためには、「密閉・密集・密接」の3条件が重ならないようにすることや、感染者の隔離と徹底した消毒が必要です。

医療崩壊を招かないよう、爆発的な感染拡大は何としてでも阻止するべきです。ただ、いつまで自粛を続ければいいのかという課題が残ります。

新型コロナウイルスが世界的に感染拡大を続ける中、2002年に発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)のように完全な封じ込めは困難でしょう。仮にロックダウン(都市封鎖)によって感染者数を一時的に抑えられても、100年前にパンデミックを起こしたスペイン風邪のように第2波、第3波が襲ってくる可能性は十分あります。

自粛ムードが長期化する中、雇用情勢や企業経営などが大幅に悪化する可能性が高く、それらを可能な限り食い止めるような制度や施策が必要になるのです。

また、ある程度の感染ピークが過ぎたら過度な自粛は控えるべきです。密閉・密集・密接
の3条件は徹底して避ける必要があるものの、なるべく早く日常を取り戻さなければ、リセッションが長引くことになりかねないからです。

リセッションが長引けば、リーマンショックのような金融危機を引き起こし、株式市場はさらなる下落になりかねません。そのような事態は避けなければいけないと考えています。

まとめ

今回のコロナショックは、リーマンショックに匹敵する下落となりました。しかし、これまでにない規模の金融緩和と財政出動が行われているので、コロナウイルスの感染がピークを越えれば、株式市場は落ち着きを取り戻すでしょう。

新型コロナウイルスに関しては、長期戦を覚悟しなければいけません。しかし、過度な自粛を続けていては、経済に深刻なダメージを与えます。不要不急の外出を控え、マスクや手洗いを徹底することは必要ですが、なるべく早く通常の経済活動を再開することが望まれているのです。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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