目次
はじめに
自分が経営する会社の事業を継承するためには、生前に様々な対策をしておく必要があります。
なんら対策をせずに急に事業を継承してしまえば、相続税や法人税などの税金の影響を受けるなどして、会社の経営そのものが困難になってしまう可能性が十分にあります。
そこで今回は事業継承の考え方や、事業継承にともなうリスク、事業継承対策まで詳しく紹介します。
事業継承について
中小企業はその会社経営の体質から、経営者の死亡によって会社経営が困窮することは少なくありません。
事業継承とは会社の経営を後継者に引き継ぐことを言いますが、自社株を引き継ぐことも事業継承と言えます。
自社株を後継者に引き継ぐことは相続によって一気に引き継がせてしまうと「相続税」の影響を受け、今後の会社経営にも影響が出ます。
そこで、事業継承対策を生前に行っておかなければいけません。事業継承対策は中小企業経営者の死亡による次世代への事業継承を円滑に行うために必要な対策です。
まずは事業継承にともなうリスクから把握しておきましょう。
事業継承のリスク
事業継承には様々なリスクが伴います。リスクをしっかりと把握して、会社経営を継続できるようにしておきましょう。
経営者の能力に依存している同族会社のリスク
同族会社の場合、経営者の能力や人間性に大きく依存していることが多く、経営者の死亡によって会社経営そのものが困難になる可能性があります。
後継者リスク
後継者がいないもしくは後継者の能力不足リスクが考えられます。
なかには能力が十分ではなくても、「息子」というだけで事業継承させることも少なくはありません。また、後継者が決まっていない際にも当然事業継承が難しいでしょう。
株主間の争いリスク
自社株を分配して保有している場合には、主導権をめぐって争いが起きたり、共同相続人でだれが自社株を相続するかなどの争いが起こる可能性があります。
納税資金の不足リスク
利益を出している会社や含み益のある会社は、自社株評価が高いため高額な相続税を収めなければいけません。
ですが、同族会社の経営者は私財をつぎ込んで会社を大きくしていることが多いため、自社株以外の資産が少ないケースも多いです。
事業継承対策について
事業継承対策は、現在の自社の資産構成や自社株評価を把握しておく必要があります。
そのうえで会社経営や法人税等への影響まで考えなければいけません。まずは事業継承対策の手順や流れについてみていきましょう。
1.自社株を評価し他の相続財産と予想相続税額を算出
2.自社株及び他の相続財産の分割等を検討し、相続人ごとの相続税額を算出
3.納税資金の検討
4.自社株評価額の引き下げ対策
5.株式移転対策
6.納税対策
事業継承の納税対策
事業継承は納税資金の確保をしなければいけません。ここでは事業継承にともなう納税対策に有効な手段をいくつか紹介します。
会社が自社株を取得する
会社は自社が発行する株式を一定の制約のもとで、保有したり処分したりすることが可能です。
これを金庫株制度といいますが、この制度によって自社株を会社に売却し、その代金で納税資金を確保できます。
自社株を物納する
相続によって得た財産のほとんどが、自社株のみであれば自社株を物納することができます。
株式公開する
株式を公開することによって、市場で自社株を売買することができるようになります。
まとめ
今回、事業継承について解説してきました。
事業継承には様々なリスクがあり、それぞれに対応した対策をとっておく必要があります。
対策をしていなかったことによって、経営者の死亡後の会社経営が困難になることは少なくはありません。
今回紹介した事業継承対策を参考にしつつ、後継者に正しく事業継承を行ってください。