はじめに
今回は、アメリカの銀行株について触れていきたいと思います。
実は、コロナショックの影響でアメリカの銀行はかなりピンチに陥っています。コロナのせいで仕事を失う人が増えて、失業率はなんと9%まで上昇しています。
ですから、銀行から借りた住宅ローンや様々なローンが払えなくなっています。そのようなローンが焦げ付くと、銀行は大きなダメージを受けることになります。
1.FRBのストレステスト
米連邦準備理事会(FRB)は、大手銀行を対象としたストレステストの結果を公表しました。
ストレステストというのは、銀行の健全性を調べるチェックのことです。
今回は新型コロナウイルスのパンデミックによる影響についても分析を行いました。
そして、FRBは銀行に対して、少なくとも第3四半期まで配当支払いを制限し、自社株買いも禁じるように命令しました。
FRBは、大手行が前例のない景気の落ち込みやそれに伴う支援プログラムへの対応に苦慮していることを指摘しました。
そして、今後の経済動向や銀行の業績を巡ってもすでに未曽有の不透明感が漂っていると述べたのです。
パンデミックに関連した分析では、各銀行個別の結果を公表していません。しかし、最も厳しい回復シナリオの下では、審査対象の34行が最大で7000億ドル相当の貸倒損失を被る恐れがあると警告しました。
分析結果では、長期にわたる深刻な景気低迷に銀行が耐えられることが示されました。しかし、一部の銀行は自己資本の最低水準ぎりぎりになると述べたのです。
最も厳しいシナリオでは、十分な資本を持つと見なされる最低水準の4.5%にかなり近付く銀行もあるということです。
この点を踏まえ、FRBは第3四半期の配当支払いに上限を設定すると表明しました。
第2四半期の配当支払額や過去4四半期の純利益の平均を超えない水準とするように各銀行に求めたのです。
FRBは、あえて銀行名を名指しませんでした。そんなことをすれば、取付け騒ぎが起こってしまいます。
2.各銀行の動き
JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、ゴールドマン・サックスなどの金融株は、このニュースを受けて下落しました。
各銀行は、個別に自行の結果を受け取りました。各行は評価を改善するため当初の計画を調整することが可能です。
ウェルズ・ファーゴは、FRBが株主配当を制限する方針を発表したことを受け、配当を引き下げる計画です。
同行のチャーリー・シャーフCEOはこう述べました。
「米経済の回復の道筋は引き続き極めて不透明であり、当行の信用ポートフォリオへの最終的な影響を正確に予測するのは難しいものの、経済に関するわれわれの想定は前四半期から大幅に変わった」
バンク・オブ・アメリカやシティグループ、ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレーの発表資料によれば、各行の第3四半期の配当に変更はありません。
ウェルズ・ファーゴは、現在の1株当たり51セントの配当をどの程度引き下げるかを7月14日に発表すると述べました。アナリストは、約35セントへの減配を予想しています。
3.今後の米銀行の見通し
ここまでの動画を見て、「米銀行はつぶれるんじゃないか。危険なのではないか」と思った人もたくさんいると思います。
しかし、銀行がつぶれる可能性は限りなく低いといえます。
未来を予測するには歴史を勉強することです。2008年に米国政府がリーマン・ブラザーズを見捨てたとき、世界はどうなったと思いますか?
世界中に不景気に嵐が吹き荒れ、多くの企業がバタバタ倒れていきました。銀行が倒れるということは、銀行が支えている多くの企業も倒れるということなのです。
そのことは米国政府も理解しているので、銀行をつぶすことはなかなか考えられません。ですから、急いで株を売る必要はないでしょう。
今後の銀行株の予想ですが、徐々に上昇していくと思います。現在は、あまりにもマーケットが景気を悲観しすぎています。
しかし、米国経済はそんなに弱くありません。コロナの第二波がくるのではないかと恐れられていますが、第二波がくるころにはワクチンが開発されている可能性が高いと思われます。
そもそも、現時点でもコロナの早期段階でレムデシビルを投与すれば、回復に向かいやすいと考えられています。
銀行株は、今、売られ過ぎの水準にあると考えられます。