2020
07/20
経済・マーケット

はじめに

今回は、アメリカの銀行株について触れていきたいと思います。

実は、コロナショックの影響でアメリカの銀行はかなりピンチに陥っています。コロナのせいで仕事を失う人が増えて、失業率はなんと9%まで上昇しています。

ですから、銀行から借りた住宅ローンや様々なローンが払えなくなっています。そのようなローンが焦げ付くと、銀行は大きなダメージを受けることになります。

1.FRBのストレステスト

米連邦準備理事会(FRB)は、大手銀行を対象としたストレステストの結果を公表しました。

ストレステストというのは、銀行の健全性を調べるチェックのことです。

今回は新型コロナウイルスのパンデミックによる影響についても分析を行いました。

そして、FRBは銀行に対して、少なくとも第3四半期まで配当支払いを制限し、自社株買いも禁じるように命令しました。

FRBは、大手行が前例のない景気の落ち込みやそれに伴う支援プログラムへの対応に苦慮していることを指摘しました。

そして、今後の経済動向や銀行の業績を巡ってもすでに未曽有の不透明感が漂っていると述べたのです。

パンデミックに関連した分析では、各銀行個別の結果を公表していません。しかし、最も厳しい回復シナリオの下では、審査対象の34行が最大で7000億ドル相当の貸倒損失を被る恐れがあると警告しました。

分析結果では、長期にわたる深刻な景気低迷に銀行が耐えられることが示されました。しかし、一部の銀行は自己資本の最低水準ぎりぎりになると述べたのです。

最も厳しいシナリオでは、十分な資本を持つと見なされる最低水準の4.5%にかなり近付く銀行もあるということです。

この点を踏まえ、FRBは第3四半期の配当支払いに上限を設定すると表明しました。

第2四半期の配当支払額や過去4四半期の純利益の平均を超えない水準とするように各銀行に求めたのです。

FRBは、あえて銀行名を名指しませんでした。そんなことをすれば、取付け騒ぎが起こってしまいます。

2.各銀行の動き

JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、ゴールドマン・サックスなどの金融株は、このニュースを受けて下落しました。

各銀行は、個別に自行の結果を受け取りました。各行は評価を改善するため当初の計画を調整することが可能です。

ウェルズ・ファーゴは、FRBが株主配当を制限する方針を発表したことを受け、配当を引き下げる計画です。

同行のチャーリー・シャーフCEOはこう述べました。

「米経済の回復の道筋は引き続き極めて不透明であり、当行の信用ポートフォリオへの最終的な影響を正確に予測するのは難しいものの、経済に関するわれわれの想定は前四半期から大幅に変わった」

バンク・オブ・アメリカやシティグループ、ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレーの発表資料によれば、各行の第3四半期の配当に変更はありません。

ウェルズ・ファーゴは、現在の1株当たり51セントの配当をどの程度引き下げるかを7月14日に発表すると述べました。アナリストは、約35セントへの減配を予想しています。

3.今後の米銀行の見通し

ここまでの動画を見て、「米銀行はつぶれるんじゃないか。危険なのではないか」と思った人もたくさんいると思います。

しかし、銀行がつぶれる可能性は限りなく低いといえます。

未来を予測するには歴史を勉強することです。2008年に米国政府がリーマン・ブラザーズを見捨てたとき、世界はどうなったと思いますか?

世界中に不景気に嵐が吹き荒れ、多くの企業がバタバタ倒れていきました。銀行が倒れるということは、銀行が支えている多くの企業も倒れるということなのです。

そのことは米国政府も理解しているので、銀行をつぶすことはなかなか考えられません。ですから、急いで株を売る必要はないでしょう。

今後の銀行株の予想ですが、徐々に上昇していくと思います。現在は、あまりにもマーケットが景気を悲観しすぎています。

しかし、米国経済はそんなに弱くありません。コロナの第二波がくるのではないかと恐れられていますが、第二波がくるころにはワクチンが開発されている可能性が高いと思われます。

そもそも、現時点でもコロナの早期段階でレムデシビルを投与すれば、回復に向かいやすいと考えられています。

銀行株は、今、売られ過ぎの水準にあると考えられます。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者14万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

<ご注意事項>

  • 当社の所属金融商品取引業者等は株式会社SBI証券、東海東京証券株式会社、エアーズシー証券株式会社です。
  • 当社は所属金融商品取引業者等の代理権は有しません。
  • 当社はいかなる名目によるかを問わず、その行う金融商品仲介業に関して、お客様から金銭および有価証券のお預かりを行いません。
  • 各商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。

[金融商品仲介業者]

商号等:株式会社ウェルス・パートナー

登録番号:関東財務局長(金仲)第810号

[所属金融商品取引業者]

商号等:株式会社SBI証券

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第44号、商品先物取引業者

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会

商号等:東海東京証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:東海財務局長(金商)第140号

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人日本STO協会

商号等:エアーズシー証券株式会社

金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第33号

加入協会:日本証券業協会

ご相談はこちらから
お名前*
お名前カナ*
メールアドレス*
電話番号*
第一希望日*
ご希望のお時間*
第二希望日*
ご希望のお時間*
面談場所*
ご相談を希望するアドバイザー
当日は代表の世古口が同席する場合がございます。
大まかな保有資産額を教えてください。*
ご年収を教えてください
当社を知ったきっかけ*
ご相談内容
利用規約*
上記でご入力いただいた内容は、当社からの連絡や情報提供などに利用するためのもので、それ以外の目的では使用いたしません。
また、その情報は、当社以外の第三者が利用することはございません。(法令などにより開示を求められた場合を除きます)
詳しくは、個人情報規約をご覧ください。
https://wealth-partner-re.com/policy/