目次
1.はじめに
個人の資産運用を考える上で、重要な要素となる「利回り」。利回りを重視して運用するのであれば債券中心での運用となりますが、日本の債券は超低金利が長期間続いており、魅力がありません。
一方で外国債券に投資をすると、利回りは高いものの為替変動によるリスクがあります。
そこで、提案したいのが為替リスクを抑えた「為替ヘッジ付き外国債券」です。為替ヘッジ付き外国債券の魅力と投資をする場合の注意点をご紹介します。
2.外国債券とは
外国債券とは外国の国債、社債等の債券です。主に投資対象とされる外国債券についてご紹介します。
(1)先進国国債
アメリカを中心とする先進国の国債です。外国債券の中では利回りは低いですが、安全性も高く、ローリスク・ローリターンの投資対象です。
(2)新興国国債
ブラジルや南アフリカ、インドネシア等の新興国の国債です。
新興国の国債は先進国の国債と比較すると利回りが高く価格変動も大きい、ハイリスク・ハイリターンの投資対象です。
(3)ハイイールド債
ハイイールド債とは利回りの高い社債です。「イールド」は「産む」と言う意味があり、高い利回りを期待できる投資対象として人気があります。企業の社債ですので、国債に比べると景気の変動を受けやすく、ハイリスク・ハイリターンの投資対象です。
3.為替ヘッジの仕組みとは
為替ヘッジとは通貨先物取引やオプション取引を利用して為替の変動を抑える手法です。為替ヘッジにより、変動を抑えられる理由は将来の為替を予約しておくと考えるとわかりやすいでしょう。
例えば、現在米ドルが100円の場合、為替ヘッジを使わない場合、満期の際に円安ドル高が進み110円になっていれば、10円の利益。逆に円高ドル安が進み、90円になった場合は10円の損失となります。
為替ヘッジをしている場合、満期時に100円で買い戻すことができる予約をしているとイメージしてください。予め予約をしておくことで、円安に動いても利益が出ることはありませんが、円高に動いても損失を被ることが無くなります。
4.為替ヘッジ付き外国債券に投資をする場合の注意点
為替ヘッジ付き外国債券に投資をする場合はどのような点に注意をすればよいのでしょうか。くわしくみていきましょう。
(1)為替ヘッジにはコストがかかる
為替ヘッジを行う時にコストがかかるので注意が必要です。為替ヘッジのコストは2通貨間の金利差で決まります。高金利の通貨を持てば高い金利を得ることができるため、その分ヘッジコストは高くなってしまいます。高金利通貨のヘッジコストが高い理由を具体的に説明します。
日本円が金利0%、米ドルが1%と仮定して現在1米ドル=100円。為替ヘッジをかけて100米ドル(1万円)を1年後にドルを100円で買い戻すとします。円で持っていた場合は金利が0%のため1年後も1万円です。
しかし、米ドルは金利が1%つくため、1年後には101ドル(1万1百円)になっています。為替ヘッジをかけるためには金利分も支払う必要があるため、101ドル(元本100ドル+為替ヘッジコスト1ドル)を払う必要があります。
金利が高ければ高いほど為替ヘッジコストは高くなりますので、高金利通貨に為替ヘッジをかけて購入する場合は注意が必要です。
(2)為替リスク以外のリスクもたくさんある
外国債券は為替リスクさえ抑えておけば、ほとんどリスクが無いと思われている方も多いようですが、実際には様々なリスクがあります。債券で運用する場合の代表的なリスクをご紹介します。
①金利上昇リスク
債券は金利の上下によって価格が動きます。金利が上昇するとすでに金利が決められて売り出されている債券は魅力が低下するため、債券価格は下落してしまいます。為替ヘッジにより為替の変動は抑えることができますが、債券価格の変動は抑えることができない点は理解しておきましょう。
②デフォルト(債務不履行)リスク
債券は発行元が元本と利息の支払いを約束するものですが、発行元の財務状況などにより債務不履行(元本や利息を払えない状態)に陥る可能性もあります。金利の高い債券は信用力の低い債券であることも多いので注意が必要です。
5.まとめ
為替ヘッジ付き外国債券は、為替リスクを抑えて高金利を得ることができる魅力的な運用方法です。長期で利回りを重視して資産運用をするのであれば、ヘッジ付き外国債券を中心に運用をするのもよいでしょう。
ただし、為替ヘッジをかけているからといって全くリスクが、無いわけではありません。為替ヘッジコストや債券のリスクについては十分注意して投資をしましょう。