みなさんは「シカゴIMM通貨先物ポジション」という言葉はご存知でしょうか?初めて耳にするという方もいらっしゃるかもしれません。
シカゴIMM通貨先物ポジション(以下、IMMポジション)は、先物取引で有名なアメリカのCME(シカゴマーカンタイル取引所)が発表している通貨先物のポジションのことをいいます。CMEには世界中の金融機関やトレーダー、ヘッジファンドが参加しています。IMMポジションについても、ファンド勢などがいわゆる投機筋のポジションを多く保有しており影響力が大きくなっています。
外国為替相場については、貿易を通じた実需の売り買いがありますが、投機筋による売り買いが相場動向に大きな影響を与えているのも事実です。世界中の投資家がIMMポジションを見て投機筋の動きをチェックして行動しているため、市場全体の流れを表す指標となっています。
全米先物取引委員会(CFTC)は、各取引所に先物商品のポジション情報の公開を義務付けており、CMEは毎週金曜日の取引終了後に、その週の火曜日時点での数値を発表しています。リアルタイムでの指標ではありませんので、その指標にすぐに反応するというものではありませんが、トレンドを把握する意味では重要な指標です。
【参考】
https://www.central-tanshifx.com/market/finder/popn-cicago-imm-position.html
IMMポジションは「ドル円」「ユーロ円」という形での発表ではなく、ドルに対して各通貨がどのように取引されているかが発表されます。
例えば上の表を見ると
2018年10月23日(火)時点
円売り(JPY Short)・・・▲122,726
円買い(JPY Long) ・・・29,922
差引(JPY NET) ・・・▲92,804
円/ドルのポジションで見ると「売り」のポジションの方が多くなっているので、ドル/円に置き換えると「買い」のポジションの保有割合が伸びています。
IMMポジションでは「円/ドル」となっていますが、通常私たちがニュースで目にするのは「ドル/円」の相場なので、気を付けなければなりません。
ドル金利が上昇する中で、ドルが買われ円を売る動きが続いたため、円を売る(Short)ポジションが大きい状態です。ただし10月に入り徐々にその流れは変わりつつあります。今後「売り」に傾いた場合は、損切りで一気に円高に動く可能性が高いともいえます。トランプ大統領のFRBや金利に対する発言からも「これ以上は円安になる余地が少ない」と考えられます。
先物取引はシンプルに考えると、次の動きがわかります。すなわち先物で買いのポジションをとれば、どこかのタイミングで決済しなければならないからです。特に投機筋の場合は短期間で収益を求められるビジネスですので利益確定や損切りは素早く行われます。
買いポジション 大 → 少しのきっかけで下降トレンドに転じる可能性
売りポジション 大 → 少しのきっかけで上昇トレンドに転じる可能性
買いポジション 小 → 上昇トレンドであれば継続
売りポジション 小 → 下降トレンドであれば継続
買いポジションが大きければ売りで決済する圧力が高まり、少しのきっかけで相場は下降トレンドに転じる可能性があります。
売りポジションが大きければ買いで決済する圧力が高まり、少しのきっかけで相場は上昇トレンドに転じる可能性があります。
ポジションが小さければ現状のトレンドが継続します。
まとめ
IMMポジションは世界中の投資家が注目しており為替相場動向を見るうえで重要な指標です。主に投機筋の動向を示しており、ポジションの積み上げ具合により、今後の相場のトレンドが見えてきます。
ポジションの偏りが小さいときは現状のトレンドが伸びていくと判断されますが、とくにポジションの偏りが大きくなったときは注意が必要です。今後少しのきっかけでトレンドが転換する可能性があります。
FXを行う人だけでなく為替に関心のある方はIMMポジションに注目してください。