はじめに
新型コロナウイルスに収束がまだ見えない昨今、“消費税ゼロ”の声も聞こえていますが、現実にはなっていません。経済対策として有効であると考えられている消費税ゼロ案ですが、なぜ頑なに下げないのでしょうか。
今回は、消費税をゼロにすることで得られる経済効果と、現実的に考えれば消費税をゼロにすることがむずかしい現実についてお伝えします。
消費税ゼロはコロナ経済対策に有効なのか
新型コロナウイルス感染症が世界中で蔓延し始め、1年近くが経過しましたが、一向に収束の兆しがありません。日本でも、連日多くの感染者が発表され、一部の地域では2回目の緊急事態宣言が発出されました。
ウイルスである以上、感染力を抑制するためには人の動きを止める以外の方法はなく、経済との両立が厳しい状況です。そんな中でも、政府は現金給付やGoTo事業などあらゆる対策を打ち出しています。
そして、新型コロナの経済対策の一環として「一定期間の消費税ゼロを要請」との声も聞こえています。しかし新型コロナの感染拡大後1年経過しても一向に消費税がゼロはおろか数%でも下がることはありません。
実際、消費税をゼロにすることが、新型コロナの経済対策として有効なのか?と言えば、その効果は限定的と言えるでしょう。通常時であれば多くの人が「消費税がゼロになったから大きな買い物をしよう」と思うはずです。
しかし、現在は新型コロナの影響もあって、ほとんどの家庭や企業で財布の紐が堅い状態が続いています。そのような中で消費税をゼロにしたところで、得られる経済効果は限定的と言えるでしょう。
仮に消費税がゼロになったところで、生活必需品や食料品の購入費用が抑えられるなど、ある程度限定的な効果に過ぎません。もっとも効果的な経済を検討するのであれば、現金給付一択ではないでしょうか。
もっと言えば、現金給付を行ったうえで消費税をゼロにすることで、消費活動が活発になり、世にお金が出回ることでしょう。ただ現実的には、そこまでの税金を導入することはむずかしいです。
消費税ゼロは現実的に考えてむずかしい
消費税をゼロにすることは現実的に考えて、むずかしいでしょう。消費税は日本の税収の30%超を占めています。これをたとえ一時的とは言っても、ゼロにしてしまえば、社会保障が成り立ちません。
仮に国債を発行して賄ったとしても、消費税を戻すタイミングや戻した後の経済衰退を鑑みればそう簡単に決断できないのは当然でしょう。
では、消費税をゼロにしないまでも、数%下げることは可能なのか?と言えば、それは可能でしょう。仮に5%程度まで下げられれば、消費活動もある程度活発になるうえに、「減税されてから購入しよう」という意識が働くため、一時的に感染予防ができます。
一方で、5%にしろ0%にしろ、消費税を減税することで多くの場所に人があつまり、感染予防対策との両立がむずかしいでしょう。そのため、減税するにしてもそのタイミングがとても重要であると考えます。
今後の消費税“増税”の可能性
現在、新型コロナの経済対策の一環として、多くの税金を投入しています。国債を発行したり、可能な限り多くの税金を導入したり、感染拡大を食い止めるために躍起になっています。
今後、新型コロナが収束し、経済活動が再開したら消費税の増税をすることはあるのか?と疑問を抱えている方も多いでしょう。2021年現時点では、消費税増税の発表は行われていません。
目先数年で消費税の増税は考えにくいですが、可能性として消費税増税はあり得るでしょう。これは、新型コロナに起因したことではなく、少子高齢化や出生率の低下など、日本が抱える問題を総合的に鑑みた結果です。新型コロナによる財政難での消費税増税は極めて低いと考えて良いでしょう。
まとめ
今回は、新型コロナの経済対策の一環として“消費税ゼロ”は現実的なのか?についてお伝えしました。
消費税をゼロにすることは、経済対策として限定的ではありながら、ある程度の結果は残すでしょう。しかし、現実的にはむずかしいとのことでした。
また、新型コロナの影響による消費税増税の可能性も極めて低いとのことでした。しかし、新型コロナの影響で出生率が低下しているのは事実です。そのため、結果として消費税が増税することは無きにしもあらずでしょう。