はじめに
2020年10月、東京証券取引所における株式売買が終日停止となる異例の事態が発生しました。
絶対にあってはいけないことが発生したわけですが、このときに東証では何が起きていたのか。投資家へ与えた影響はどの程度だったのか。
今回は、異例の事態が発生した東証終日取引停止について、詳しくお伝えしていこうと思います。
東証取引停止のとき何が起きていた
2020年10月1日、東京証券取引所は終日株式売買を停止すると発表し、多くの投資家に衝撃を与えました。このとき、何が起きていたのか最近ようやく見えてきました。
東京証券取引所では、「アローヘッドの機器故障によりシステム障害が発生」したことが原因で、売買を停止したと発表。アローヘッドとは、2006年より東京証券取引所で開発が進められ、2010年に稼働が開始された株式売買システムです。
このアローヘッドの機械故障によって、前代未聞の取引停止が発生してしまったのです。
東証での株式売買取引が終日停止になったのは、1999年5月にシステム化されて以降はじめての出来事です。東証と同じシステムを利用している札幌・名古屋・福岡の証券取引所も売買が完全に停止。
なお、機械の故障が明確にわかったことなどから、サイバー攻撃である説を完全に否定されています。金融庁は、再発防止策を確認するとともに、東証への業務改善命令等なんらかの処分を下す見通しです。
投資家へ与えた影響
東証で取引を行う投資家は、個人投資家のみならず、海外市場からも注目されているため、海外からの信用が一気に失墜したとの見方も強まっています。
それもそのはずです。一時でも売買が停止してしまうということは、サイバー攻撃の可能性もあり、多くの投資家を不安や困惑させてしまったためです。
決してあってはならないことであり、今後の再発防止策を確認したいところです。
ただ、1日取引ができなかったくらいで、とんでもない損失を被ることはそう多くありません。東証取引もしっかりと次の日には解決し、取引を再開することができました。
しかし、短期間でトレードを行い、利益を上げたりする投資家にとっては、かなりの痛手となたでしょう。
また、個人投資家ではなくても、貯蓄型保険に加入されている方や投資信託に資産を預けている方も、不安な気持ちになったでしょう。経済的な損失はそう大きくはなくても、人々に与えた不安感は相当な被害であったことは容易に想像ができます。
また、海外投資家や海外市場からの見方も変わってしまったことでしょう。「信頼性」を大きく落としてしまったことは言うまでもありません。今後、徹底した再発防止策に期待をしたいところです。
今後どうなる
金融庁では東証に対して、業務改善命令などのなんらかの処分を下すものとしており、処分の内容にも注目をしたいところです。
東証で行われている取引額は「兆単位」であり、桁違いな金額がつねに動いています。そのため、金融庁も厳しい処分を下すものと見られています。
今後2度と同じことを繰り返さないことは当然ながらも、発生してしまった場合にはどのように対処をするのか?についても、今後厳しく問われていくことになるでしょう。
まとめ
今回は、2020年10月に発生した東京証券取引所における株式売買停止についてお伝えいたしました。
絶対にあってはいけない事故が起きてしまったわけですが、翌日に復旧できたのは良かったです。
しかし、失ってしまったものは非常に多く、日本国内外の投資家や海外市場から「信用」を失ってしまいました。今後、再発防止策を検討しながら再発防止に努めていくことになりますが、2度と同じことがないよう徹底してほしい限りです。