はじめに
新型コロナウイルスで会社関係のニュースでは、倒産や廃業、業績悪化などが取り上げられている印象があるのではないでしょうか。実は、倒産や廃業、業績悪化などのニュースの裏で、会社に関する世界規模のニュースが報じられています。
M&Aのニュースです。
いろいろな会社が生き残りや再建をかけ、M&Aをはじめていると言うのです。
新型コロナの時事ニュースをさらに興味深く読むためのM&Aの基礎知識を解説します。
M&Aとは?
経営者や投資家の中には「M&A」という言葉に良い印象を持っていない人もいるかもしれません。
M&Aに対してドラマなどの影響から「会社乗っ取り」のような印象を持っている人もいます。
これは必ずしも正しい印象ではありません。
なぜなら、M&Aという言葉は広い意味を持っているからです。
M&Aは、「Mergers and Acquisitions」の略です。
日本語に訳すと「合併と買収」になります。
この他に、意味をさらに拡大して「企業提携」も含めるという解釈もあるのです。
企業買収には不穏な印象があるかもしれません。
しかしながら、買収は経営者のリタイアなどに使われることもあります。
たとえば継ぎ手のいない会社を同業種の会社に売却し、事業を継いでもらう。
そして経営者自身はリタイアメント生活に入る。
このような使い方もします。
会社同士がより力を強めようと合併や提携することはよくあるわけですから、M&Aが必ず敵対的であるという印象は間違いです。
日本で行われる多くのM&Aは友好的なものであると言われています。
新型コロナでなぜM&Aが行われるのか
新型コロナウイルス下でなぜM&Aが「はじまっている」などと言われるのでしょうか。
理由は「将来的な会社のことを考えて」です。
新型コロナで業績が下がった場合、多くの会社が下がった業績をどうするか考えることでしょう。
業績が下がったとまでいわなくても将来的な不安を抱える会社の場合、対策を考えるのではないでしょうか。
その対策や業績回復などのための手段のひとつがM&Aです。
たとえば、新型コロナの影響で経営基盤が不安定になったとします。
このようなケースでは、経営基盤の強化を考えてM&Aを行うことがあるのです。
また、業績回復のためにコストカットなどを検討する場合は、仕入れ先の会社とのM&Aが考えられます。
商品の素材の仕入れ先をM&Aで組み込めれば、仕入れのコストをカットできるわけです。
M&Aにはいろいろな手法がある
よく誤解されますが、M&Aという方法があるわけではなく、M&Aはさらに細かく各種の手法にわかれています。
たとえば合併の場合、「新設合併」と「吸収合併」にわかれているのです。
新設合併とは、会社を失くした上で新しい会社を作り、新しい会社に権利関係を引き継がせる方法になります。
新しい体を作り、その体にかつての会社の持っていた機能などを移す。
このような想像すればわかりやすいのではないでしょうか。
吸収合併とは、片方の会社が相手会社に吸収される合併方法です。
2つの会社を想像してください。
片方の会社がもうひとつの会社に飲み込まれる映像を想像すればわかりやすいのではないでしょうか。
M&Aにはこの他に新設分割や吸収分割、株式譲渡や株式移転など、いくつもの手法があります。
M&Aの各手法はニーズや会社の状況に合わせて使い分けがなされているのです。
まとめ
新型コロナウイルスの影響で業績が低下しているなどのニュースが報じられると、企業活動自体が静かになっているのではないかと思うかもしれません。
実際は、新型コロナ終息後を見据えて動き出している企業もあるようです。
新型コロナのニュースに混じって、大きな会社のM&Aのニュースなどが飛び込んでくるかもしれません。
M&Aは経営者のリタイアなどいろいろな場面で使われています。
経営者や投資家ならチェックしておきたい知識です。
ネットやニュースでM&Aという言葉を見かけたら、関心を寄せてみてください。