目次
はじめに
2019年1月より順次、相続に関する法律が変わっています。
人は必ず最期の日を迎え「相続」が発生しますが、相続について把握できている方は少ないのではないでしょうか。
相続は突然訪れるものですが、前もって知識をつけておけば、相続時に落ち着いて対応できます。
自分自身が損をしないためにも、今回の改正で何が変わったのか?について具体的に把握しておきましょう。
1相続に関する法改正
相続に関する法律が改正され、2019年1月から2020年7月にかけて施行されることとされています。
今回の法改正では7つもの制度が新設もしくは改正されます。
具体的にどのような制度がどのように変わったのかを把握し、相続の準備をしておきましょう。
1-1配偶者居住権
2020年4月1日より「配偶者居住権」が新設されます。
配偶者居住権とは、配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、相続人となる配偶者が遺産分割によって配偶者居住権を取得することで、その建物に終身または一時的に無償で住み続けられる制度です。
旧制度では、法定相続人全員で、相続人の財産すべてを遺留分もしくは遺言書に従って相続をしていました。
ですが、配偶者居住権の新設によって、配偶者が住み処を失うこと無く、他の財産について遺留分もしくは遺言に従って相続できるようになります。
1-2 夫婦間における不動産贈与などに関する優遇措置
夫婦間における不動産贈与の優遇措置は、2019年7月1日より施行されています。
不動産贈与の優遇措置とは、婚姻期間が20年以上の夫婦が居住用不動産を遺贈もしくは贈与した場合に適応される措置です。
不動産の優遇措置の条件を満たせば、原則として遺産分割時に配偶者の取り分が増えます。
旧制度であれば、原則として「遺産の先渡し」とみなされるため、相続財産が贈与がなかった場合と同じでした。
しかし、本制度の適用によって、遺産の先渡しを受けたものと取り扱わないため、結果的に多くの財産を得られるようになりました。
1-3 預貯金の払い戻し制度
払い戻し制度も2019年7月1日より施行されています。
本制度は、預貯金が遺産分割の対象となる際に適応される制度であり、一定の範囲内であれば遺産分割前でも預貯金の使用が可能となります。
本制度に関しては、配偶者などの特定の人物に限られていません。
相続人であれば原則として、誰でも本制度を利用できます。
1-4 自筆証書遺言
2019年1月13日に施行され、自筆証書遺言の方式が緩和されました。
旧制度では、自筆証書遺言の全文を自筆しなければいけず、通帳のコピーやパソコンで目録の作成などは認められていませんでした。
しかし、自筆証書遺言の方式が緩和され、通帳のコピーの添付やパソコンでの目録の作成が認められています。
1-5 自筆証書遺言の保管制度
自筆証書遺言の保管制度については、2020年7月10日から施行されます。
自筆した遺言証書を、法務大臣の指定する法務局に保管できるようになる制度です。
1-6 遺留分制度
遺留分制度の改正は2019年7月1日より施行されています。
主に変更となる点は2つ
遺留分を侵害された者は、遺贈や贈与を受けたものに対して、遺留分侵害額を請求できるようになりました。
遺贈や贈与を受けた者が、ただちに金銭を準備できない場合には、裁判所に対して支払期限の猶予を求められるようになりました
1-7 特別の寄与の制度
2019年7月1日に施行となった制度です。
相続人以外の者が被相続人の療養看護などを行った場合には、相続人に対して金銭を請求できるようになりました。
たとえば、配偶者の両親(義母・義父)の療養看護を行った際に適用される制度です。
旧制度では、相続人ではないため、金銭の請求はできませんでした。
本制度の施行によって報われる方もいるのではないでしょうか
まとめ
今回、相続に関する法改正について紹介しました。
今回の法改正で変更もしくは新設される制度は全部で7つでしたね。
きっとメリットに感じられる改正が多かったのではないでしょうか。
相続で得られる財産は、今後の生活を大きく左右させるものです。
相続制度についてしっかりと把握し、損をしないように準備しておきましょう。
(参考︰総務省HP)