2019
11/21
最終更新日:2019/11/22

はじめに

投資信託の運用方法は、主にアクティブ運用とパッシブ運用に分けられ、日本株など同じ市場を対象にしても、まったく別の考え方・アプローチになります。近年では、パッシブ運用のファンドが増えています。

この記事では、パッシブ運用が増えている理由とアクティブ運用との違いについて解説します。

アクティブ運用とパッシブ運用(インデックス運用)の違い

アクティブ運用とは、運用目標となるベンチマーク(国内株式の場合、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など)を上回ることを目指す運用手法です。一方、パッシブ運用とは、ベンチマークに連動する成果を目指します。

パッシブ運用とは「インデックス運用」とも呼ばれます。投資信託で「インデックスファンド」や「インデックス型」と呼ばれるのもパッシブ運用です。

アクティブ運用とは

アクティブ運用は、市場平均を上回るリターンを得るために、市場が見逃している投資機会を見出して収益獲得を目指します。そのために用いる方法として、主に次の4つがあります。

トップダウンアプローチ

景気や金利・為替など「マクロ経済」から分析し、その結果に基づいて組入銘柄を決める手法です。

ボトムアップアプローチ

個別企業の調査・分析を重ね、その結果に基づいて組入銘柄を決めていく手法です。

グロース投資

株価の水準ではなく、企業の成長性(売上高や利益の伸び率)が期待できる銘柄に投資する手法です。

バリュー投資

PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの指標をもとに、株価が割安と判断される銘柄に投資する手法です。

どの手法も、調査・分析の専門家が市場価値を十分に反映していない企業を発掘して投資します。最近は、ビッグデータやAI(人工知能)を積極的に利用するなど、新たな領域での進展が期待されています。

パッシブ運用とは

パッシブ(インデックス)運用とは、市場と同じリターンを目指す運用手法です。日経平均株価やTOPIXなどの指数をまるごと買うので、特定の業種や銘柄からのリターンは期待しません。市場は効率的で、市場平均を上回る投資機会はそれほどないという考え方です。

アクティブ運用とパッシブ運用のパフォーマンスの違い

アクティブ運用は、ベンチマークを上回るリターンを目指すファンドなので、ベンチマークに連動することを目指すパッシブ運用よりも魅力的に感じるかもしれません。

しかし、アナリストやファンドマネージャーなどプロが運用するアクティブ運用でも、常にインデックス運用に勝つわけではないのです。

もちろん、アクティブ運用の中には、パッシブ運用を上回っているファンドもありますが、優秀なファンドを見つけることは簡単ではありません。

一般的には、アクティブ運用よりもパッシブ運用のパフォーマンスが優れているといわれています。その理由は、以下の3つです。

コスト面

アクティブ運用は、個別銘柄を選ぶためにアナリストやファンドマネージャーなどの調査費用がかかることや、銘柄の入れ替えについても積極的に行うことから、パッシブ運用よりもコストがかかります。

パッシブ運用では、指数に連動することを目指すので、銘柄の選定や入れ替えの手間がかかりません。コスト面を考えるとパッシブ運用の方が有利になります。

市場の効率化

情報技術の発達で、市場の非効率な部分は減ってきています。海外で起きた事件でも、インターネットですぐに知ることができます。アクティブ運用がコストや時間をかけても、リターンを獲得するのが難しくなってきているのです。

パッシブ運用が増えている理由

パッシブ運用は、株式市場でも大きな存在感になっています。2018年末の国内の公募株式投資信託市場における日本株インデックスファンドの割合は、残高ベースで36%を占めます。

パッシブ運用の存在感が高まっているのは海外も同じです。2018年6月末時点の世界のパッシブ運用の資産残高は、14兆ドル(約1500兆円)と前年に比べて1割増えました。これは、世界の株式時価総額の2割に該当します。

パッシブ運用はそれほど長い歴史があるわけではありません。米国で1970年代に、株価指数に連動することを目指す投資信託を提供したのが最初といわれています。

しかし、パッシブ運用は今やすっかり運用の柱になりました。パッシブ運用が受け入れられたのは、高いリターンは期待できないものの、安定した投資成果が得られるからです。

また、指数の開発が進み、パッシブ運用の対象が増えたことや、ETF(上場投資信託)により品揃えが増えたこともパッシブ運用の利用を促進しました。

個人の資産形成でも、パッシブ運用の波は押し寄せています。

日興リサーチセンターの調べでは、インデックスファンドの資産残高は2018年12月20日時点で34兆4,129億円。安倍内閣が誕生したアベノミクス前の2012年に比べ6倍以上になっています。

個人は、金融機関のアドバイスに従う傾向にあり、さまざまな商品を揃えているアクティブ運用を好む傾向がありました。しかし、最近は運用に関する情報が広がり、コスト面などパッシブ運用の魅力が高まってきたことにより、インデックスファンドを購入する人が増えています。

また、長期の資産形成に対するニーズが高まり、保有コストの安いパッシブ運用を利用する動きが広がっているのです。

まとめ

今回は、アクティブ運用とパッシブ運用の違いについて解説しました。以前はアクティブ運用の人気が高かったものの、近年はパッシブ運用の利用が増えています。

コストが安いことから、長期の資産形成に向いていると注目されているからです。将来の資産形成の手段として、つみたてNISAやiDeCoなどの非課税制度が充実してきていることも背景にあります。つみたてNISAやiDeCoでは、インデックスファンドが運用のメインだからです。

ただ、アクティブ運用も独自の運用哲学でパッシブ運用を上回るリターンをだしているファンドもあります。

自分のニーズにあった運用手法を選ぶようにしましょう。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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