2019
09/25

はじめに

日本国内での税金制度は、とても複雑でとてもシビアなものです。
日本国内で課税される税金「贈与税」というものをご存知でしょうか。
贈与税は、贈与を受け者が課税される税金であり、1年間で110万円を超える部分に課税されます。

また、相続発生時には、相続税の課税対象になってしまうため「財産を得ればとにかく税金」という考え方が一般的です。
しかし、生前贈与のうち要件を満たした贈与に関しては、最大で2,500万円まで非課税にしましょうという制度も存在します。

そこで今回は、多額の資産をできるだけ税金を発生させずに、贈与する方法「生前贈与の相続時精算課税制度」について詳しく紹介します。

生前贈与とは?

生前贈与とは、その名の通り「生前に贈与を行う行為」のことをいいます。通常の贈与には、贈与税という税金がかかります。
通常の贈与税の控除額が年間で110万円であるため、その年に110万円以上の贈与を受けた者は、贈与税の課税対象となり、税金を納めなければいけません。

一方、生前贈与のうち「相続時精算課税制度」を利用すれば最大で2,500万円まで非課税になります。

相続時精算課税制度を利用するためには、一定の要件を満たさなければいけません。一定の要件を満たさずに行った生前贈与は、通常の贈与税の課税対象となるため注意しましょう。

【相続時精算課税制度の要件】

贈与者が満60歳以上の父母もしくは祖父母であること
受贈者が満20歳以上の子もしくは孫(代襲相続含む)

そして、2,500万円を超える部分には一律20%の税率が適用されます。
また、相続時精算課税制度を利用したあとに、贈与者が死亡した際には、すべて相続財産に加算して相続税を計算します。

よって、相続税に受け取った相続財産+生前贈与を受けた額=合計額
の計算式によって、相続税が課税されるため、相続時に支払う税金は高額になる可能性があるので注意しましょう。

生前贈与のメリット

相続時精算課税制度を利用した生前贈与で得られるメリットには「法定相続人ではない人への生前贈与」「値上がりに期待ができる有価証券を贈与」が挙げられます。まずはそれぞれ詳しく見ていきましょう。

法定相続人ではない人への生前贈与

被相続人に配偶者や子がいれば、法定相続人は配偶者と子だけで終わります。ですが、相続時精算課税制度の対象受贈者をもう一度思い出してみましょう。

「満20歳以上の子もしくは孫」が相続時精算課税制度の受贈者の対象となっています。
つまり、本来、法定相続人ではない「孫」への生前贈与は、最大で2,500万円まで非課税となるのです。

法定相続人に該当する「子」へ生前贈与を行ってしまえば、相続時に生前贈与分も含めて相続税を支払わなければいけません。

しかし、法定相続人ではない「孫」に対しては、2,500万円まで非課税で贈与が行えるのです。もちろん、代襲相続によって孫が法定相続人となってしまえばこの限りではありません。

値上がりに期待ができる有価証券を贈与

将来に向かって値上がりが期待できる有価証券を贈与したとして、贈与者死亡時には当該有価証券が、倍値になっていたとしましょう。

被相続人の死亡によって有価証券を得た相続人は、相続時の時価に応じて相続税を支払わなければいけません。

一方、値上がり前に生前贈与を行っていたとしましょう。相続時には、相続税を支払わなければいけませんが、贈与当時の時価に応じた税額計算がされるのです。

生前贈与のデメリット

相続時精算課税制度を利用した生前贈与では「相続時の税金が高額になる」「相続時に物納ができない」などのデメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

相続時の税金が高額になる

贈与者が、受贈者に対して現金で2,500万円贈与したとしましょう。
贈与者が死亡し、受贈者が相続を得たとすれば、生前贈与を受けた「2,500万円」に対しても相続税が課税されます。

しかし、生前にすべてを贈与しきっており、死亡時の相続財産が全くなかったとしましょう。
受贈者は、相続財産を得ていないにも関わらず、2,500万円に対しては税金を納めなければいけない義務が発生します。

現金を残していれば良いですが、残していなければ税金を納めることができません。

相続時に物納できない

本来、相続税の支払いは、現金のみではなく物納も認められています。
金融財産が少なく、不動産を複数保有していた被相続人であれば、大変ありがたい制度です。

しかし、生前贈与で受け取った不動産などは、物納が認められません。
上記で紹介したデメリットにも通じますが、現金資産がなければ税金を納めることが難しくなってしまうので注意しましょう。

まとめ

今回、生前贈与に関する「相続時精算課税制度」について紹介しました。

日本国内では、様々な所得に対して税金が課されます。被相続人が一生懸命稼いだ財産を贈与してもです。

ですが、今回紹介した相続時精算課税制度を利用すれば、最大で2,500万円までの特別控除を受けられます。
生前贈与を検討されている方は、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者14万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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