2019
07/17
最終更新日:2019/08/09
経済・マーケット

(出典:https://www.mag2.com/p/money/714343)

はじめに

2019年4月にドラッグストア業界のマツモトキヨシホールディングス(2019年3月期売上高5,759億円:業界5位)はココカラファイン(同期売上高4,005億円:業界7位)との資本業務提携を発表しました。

それに関しては検討・協議が開始されています。

しかしその後6月に愛知県を中心とするスギホールディングス(2019年2月期売上高4,884億円:業界6位)が、ココカラファインとの経営統合を検討中であることを明らかにしました。

つまりココカラファイン争奪戦が勃発しており、ココカラファインを手に入れることができた勝者こそがドラッグストア業界のトップになり得るのです。

本記事では、ドラッグストア業界の動向やニュースとなっているココカラファイン争奪戦についてわかりやすくご説明していきます。

ドラッグストア業界の人気

ドラッグストア業界の人気の勢いは年々高まっていることをご存知でしょうか。

業界全体で見るとドラッグストア業界の売上高は7兆円にまで拡大し、売上高は2016年度に全国百貨店売上高を5,000億円も上回りました。
2017年度にはその差はさらに広がり、ドラッグストア業界の成長は著しいものです。

2025年度の目標売上高には10兆円という数字を掲げており、これはコンビニ業界に迫るような勢いです。

なぜドラッグストアはこんなにも人気が出ているのでしょうか。

理由は“ついで買い”による購買促進にあります。

ドラッグストアに来る人はたいてい「薬」を買うといった目的がありますが、店内には医薬品以外にもコスメやドリンク・お菓子など様々な商品が並べられているのでついでに手に取って、買ってしまうということです。

また、ドラッグストアは医薬品を安く仕入れてその儲け分医薬品以外の商品を安売りしているのでその安さも魅力の1つです。

他にも、薬事法の改正により医薬品を販売できるようになったコンビニとの差別化を図るために、ドラッグストアでは薬剤師を置いて処方せんの必要な調剤を扱っている(図1)ことや、中国などからの観光客による爆買いも業界の成長を押し上げています。


(図1 出典:https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20181211/se1/00m/020/041000c)

なぜココカラファインを取り合う?

ではマツモトキヨシホールディングスとスギホールディングスはなぜ、業界順位の低い(自社よりも売上高の少ない)ココカラファインを取り合っているのでしょうか。

理由は大きく分けて3つあるので、以下で解説していきます。

都市型店舗である

ココカラファインは全国に1,354店舗ありますが、店舗の半数を関東と関西に集中させています(図2)。


(図2 出典:https://corp.cocokarafine.co.jp/about/feature.html)

特に東京・大阪の駅前といった好立地の店舗網が厚いです。

スギホールディングスは郊外を中心に店舗を構えているのでココカラファインと互いを補完し合いながら出店戦略を立てることが狙いです。

マツモトキヨシホールディングスは都市を中心に店舗を構えていて、半分以上が関東にあるので関西と関東でアンバランスである店舗数をココカラファインとの連携で補完するのが狙いです(図3)。


(図3 出典:https://www.matsumotokiyoshi-hd.co.jp/ir/annual.html)

優れた調剤サービス

日本は高齢社会などを背景に、薬剤師による販売がルールとなっている処方せん薬の需要が増加しています。

病院近隣の調剤薬局は混み合うので、ドラッグストア各社は調剤併設店の増加に近年力を入れて患者のニーズを獲得することに励んでいます。

特にココカラファインはITを取り入れた調剤事業に力を注いでいて、ドラッグストア業界で初めて、薬剤師がテレビ電話を通して医薬品の説明をする「遠隔服薬指導」に参入しました(図4)。


(図4 出典:https://www.ryutsuu.biz/strategy/k091111.html)

同業他社(スギホールディングス・マツモトキヨシホールディングス)はココカラファインのそのようなノウハウを欲しがっているということです。

積極的な提携を行っている

ココカラファインは2018年に食品スーパーを経営するバローホールディングス、2019年5月にはエイチ・ツー・オーリテイリングと提携するなど、他社との連携に積極的です。

創業家色がかなり薄いということもあるので、同業他社(スギホールディングス・マツモトキヨシホールディングス)はビジネスの協力を要請しやすいと感じたのです。

ココカラファインはどちらを選ぶ?

マツモトキヨシホールディングスとスギホールディングスの2社からアピールを受けているココカラファインですが、どちらを選んでも売上高合計は首位に躍り出てドラッグストア業界ではトップになることができます。

会員データに基づいた付加価値の高いプライベートブランド商品が強みであるマツモトキヨシホールディングスを選べば、ココカラファインの商品ラインアップの充実や販路拡大は大きなメリットになります。

スギホールディングスを選べば、調剤事業を強化しているという戦略が重なっているのでノウハウを上手く使い合わせることができます。

ココカラファインは、どちらと統合することでメリットが大きいかということを念頭に数カ月かけてゆっくりと検討をするということです。

ドラッグストア業界の今後

市場規模がどんどん大きくなっているドラッグストア業界はこのように合併や再編などの動きが進みつつあります。

高齢化の進行によりドラッグストア業界への期待は高まっていく一方なので、街の調剤薬局や医薬品を販売するコンビニとうまく差別化を図りサービスを提供することが求められるでしょう。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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