2023
11/02
債券

皆さんこんにちは。株式会社ウェルス・パートナー代表の世古口です。本日のテーマは「アメリカ国債だけでなく米ドル社債にも投資した方がいい理由」です。

はじめに

最近、よく「アメリカ国債だけに投資してもいいのではないか」というご相談をいただきます。
その背景・理由としては、アメリカ国債の利回りが再び上昇してきたことが挙げられます。
昨年、利回りが高い時で4%を超える水準だったのですが、最近同じくらいの利回りに戻っています。
こういった背景から、今回はアメリカ国債だけではなく、社債にも投資した方がよいと思う理由について話をしていきたいと思います。

アメリカ国債だけでなく米ドル社債にも投資した方がいいと思う理由

今回はシンプルな内容なので、まとめから入りたいと思います。
アメリカ国債だけでなく、米ドル社債にも投資した方がいいと思う理由について、4つのポイントにまとめます。

発行体リスクは米国債といえど分散させた方がいい

まず、一つ目のポイントは債券の発行体リスクについてです。
投資対象が米国債だとしても、発行体を一つに絞るというのは、発行体の集中リスクが高いと思います。

それ以外の発行体、例えば社債などへ投資して、発行体リスクをいろいろな企業に分散させた方いいと考えています。
米国債がデフォルト扱いになると、米ドル建ての社債もデフォルト扱いとなり、「米ドル建て債券すべてが終わりになるのでは」と考える人も多いのですが、そんなことはありません。

例えば、今年は2023年ですが、アメリカの債務上限問題というのがあって、「アメリカ国債がデフォルト扱いになるのではないか?」という事象がありました。

実際には、デフォルトが回避されたのですが、これがデフォルト扱いになったとしても、米国債だけがデフォルト扱いになって、その他の米ドル建て債券、企業が発行している社債がデフォルト扱いになることはないわけです。

リスクという点では、米ドル国債と米ドル社債では、発行体リスクが異なるので、分散する意味があるということになるわけです。
したがって、同じ米ドル建て債券だけとはいえ、米国債もあるし、社債として企業AがあるしBもある、そしてCもある。いろいろな社債に分散投資するというのが、やはり良いのかなと思います。

そういう中で、米国債というのは格付けが限りなく最上位で、信用力がかなり高いため、投資割合を増やすのは良いと考えています。
具体的には、米国債の割合を債券ポートフォリオ全体の1割とか2割に設定し、他の債券の割合を8割や9割にするというのはいいと思います。
しかし、債券ポートフォリオの中身を、すべて米国債だけにするというのは、発行体が集中しすぎだと思います。

仮にバイアスをかけて米国債の割合を高めるにしても、2割とか3割とか、それくらいの割合にとどめ、社債などに分散した方がよいと考えます。

米国債だけだと期間分散が十分できない可能性がある

二つ目のポイントは、期間分散についてです。

アメリカ国債だけに投資した場合、若干問題があるのが債券の期間分散です。

通常、証券会社を利用して米国債に投資すると思うのですが、 米国債自体のラインナップがたくさんある証券会社は少ないので、期間分散が十分にできないという問題が生じるわけです。

例えば5年の米国債とか、10年の米国債とか30年国債とか、 証券会社がどれくらいの種類を扱っているかわかりませんが、仮に5種類の米国債を扱っていたとしても、その5つの債券だけに投資するということになりますので、期間が十分に分散されないわけです 。

可能であれば、数年ごとに償還を迎える債券でポートフォリオを組むというのが理想的ですが、そのようにうまくポートフォリオを組めない可能性が出てくるわけです。

このような理由から、いろいろな期間の社債まで組み合わせたら、かなり期間分散ができると思います 。

そういった意味でも米国債だけでなく、米ドル社債もポートフォリオに組み入れた方がいいと考えています。

社債の上乗せ利回りを得ないのはもったいない

三つ目のポイントは、社債の上乗せ利回りについてです。

これも、そもそもの話にはなるのですが、やはり社債の上乗せ利回りを得ないのは、非常にもったいないことだと思います。

仮に、米国債の利回りが4%だとして、格付けがそれなりに高い企業の社債に投資を行い、少ないリスクを取れば、利回りが4%から5%になるわけです。

このように聞くと、たかが1%の差と思われる方がいらっしゃるかもしれないですが、債券の利回りの4%と5%ではかなり違います。
割合で言えば2割も違うわけですので、収益性が2割違うということになり、かなり大きな利回りの差になると思います。

このように、若干のリスクを取ることで1%の差、つまり2割の差を得に行かないというのは、とてももったいないことだと思います。

やはり、発行体でリスクの分散を図るとか、期間の分散を図るとか、社債の上乗せ利回りを得るということも考え、米国債だけではなく社債にも投資した方がいいのかなと思います。

米国債と格付A-以上の社債の組み合わせがおすすめ

四つ目のポイントは、「おすすめはどうなのか」という点についてです。

債券投資を行う中で、米国債だけに投資したいと考える方はかなり保守的な考えをお持ちだと思います。

すでにお伝えした理由で、やはり米国債だけに投資するというのは、それなりに発行体の集中リスクもあって、利回り的にももったいないという側面がありますので、これからは、米国債と他の社債を組み合わせるという運用の方法がいいと考えています。

具体的には、米国債プラス格付けがシングルA以上の債券であれば、かなり信用力が高い債券なので、だいぶ保守的な米ドル債券運用ということになり、いいのかなと思います。

この米国債と社債の割合に関しては、最初の方でお伝えした通り、米国債の割合が高くてもだいたい2割または3割ぐらいに留めて、格付けA-以上の社債の割合を7割とか 8割くらいにするポートフォリオの組み方がいいのかなと考えます。

そういったところで、本日は「アメリカ国債だけではなく米ドル社債にも投資した方がいい理由」という内容をお届けしました。

今回の内容については「世古口俊介の資産運用アカデミー」でも視聴できます。

本記事の著者

世古口俊介
世古口俊介 代表取締役
プロフィール
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベートバンキング本部の立ち上げに参画し、同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。超富裕層のコンサルティングを行い1人での最高預かり残高は400億円。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者3万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」での情報発信を通じて日本人の資産形成に貢献。医師向けサイトm3.comのDoctors LIFESTYLEマネー部門の連載ランキング人気1位。
当社での役割
超富裕層顧客の資産配分と税務の最適化提案。
特に上場会社創業者の複雑な相続対策や優良未上場企業の組織再編に注力。
同社の代表として書籍の出版や日本経済新聞、週刊東洋経済、ZUUonlineなど各種メディアへの寄稿、投資教育普及のために子供向けの投資ワークショップなどを開催。

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